名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.09.02 月曜日

外貌醜状の後遺障害

1. 交通事故によって、例えば顔に傷跡が残ってしまった場合、それは外貌醜状として後遺障害と認定されるこ  とがあります。具体的には以下のような基準で認定されます(以前は男女で等級の差があったのですが、平成23年に改正されました)。

1) 7級:「外貌に著しい醜状を残すもの」 
   原則として,下記のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます。
   ① 頭部にあっては,てのひら大(指の部分は含まない,以下同じ。)以上の瘢痕または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損    
  ②  顔面部にあっては,鶏卵大面以上の瘢痕または10円銅貨大以上の組織陥没
  ③  頚部にあっては,てのひら大以上の瘢痕
2) 9級:「外貌に相当程度の醜状を残すもの」 
   原則として,顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で,人目につく程度以上のものをいいます。
3) 12級:「外貌に醜状を残すもの」 
  原則として,下記のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます
  ① 頭部にあっては,鶏卵大面以上の瘢痕または鶏卵大面以上の欠損
  ②  顔面部にあっては,10円銅貨大以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕
  ③  頚部にあっては,鶏卵大面以上の瘢痕
4) 14級:「上肢・下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」 
   上肢の露出面=上腕(肩関節以下)から指先まで 
   下肢の露出面=大腿(股関節以下)から足の背まで
 
2. 以上のように、醜状の有無は,客観的にその存在を認識することができますので,その存否が争いになるこ とはほとんどありません。外貌醜状において問題となりやすいのは、逸失利益が請求できるか、すなわちかかる外貌醜状によって労働能力が喪失したと認められるか、というものです。判例実務における大まかな傾向は以下のとおりです。
1) モデル,芸能人,接客業などの場合には,外貌醜状によって,ファンや店の客足が減るなどの影響を及ぼす ことが生じ得ます。このように労働に直接影響を及ぼすおそれがある職種の場合には,被害者の職業,年齢,性別なども考慮したうえで,労働能力喪失率が認定されます。
2) 外貌醜状の存在による労働への直接的な影響は認めがたいが,周囲の視線が気になるなどして,対人関係 や対外的な関係に消極的になるなど,間接的に労働に影響を及ぼすおそれが認められる場合は,逸失利益は否定しますが,外貌醜状を後遺障害慰謝料の増額事由として考慮することがあります。
3) 判例実務においては、醜状があることによって所得の減少が認められる、もしくはその可能性があるかという ことが重視されているようです。