名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.10.11 金曜日

休業損害の算定要素

休業損害は,事故後に傷害が治癒するとき,あるいは症状固定のときまでに被害者の方に生じた収入の減少に関する損害のことを言います。

 基本的には,傷害の治癒,あるいは症状固定の時までの「現実の収入減」が,休業損害として賠償の対象になるとされています。ただ,どのような事柄が休業損害に含まれるかについては,より具体的に検討する必要があります。
 まず,給与所得者の方については,休業したために得られなかった給与・賞与がまず休業損害に含まれます。昇給や昇格の遅延も休業損害に含まれます。
 また,治癒や症状固定に至る前に,欠勤扱いを避けるために有休を使う場合がありますが,有休をとった日数分の収入額も休業損害に含まれると判断されている事例が多くあります。これは,有給休暇は労働者の持つ権利として財産的価値があること,また損害の拡大防止策を被害者の方が取ったことで加害者側に得をさせる必要はないと考えられることなどからです。
 次に,事業所得者の方についても,事故後の収入の減少分について,休業損害として賠償が認められることになります。
 また,固定経費についても,事業の維持・存続のために必要やむを得ないものは休業損害として認められ,賠償の対象になります。例えば,喫茶店経営者の方の事故で,店舗家賃,駐車場,光熱費,自動車保険料,火災保険料,自動車税,個人事業税の支払額が賠償の対象として認められたケースがあります。他にも,ラウンジ経営者で,家賃,カラオケリース代,植木リース代の支払額が損害として認められたケースや,そば店経営者で,広告宣伝費,接待費交際費,損害保険料,修繕費,減価償却費,福利厚生費,諸会費,地代家賃が損害として認められたケースなどがあります。以上のほかにも,従業員給料や,休業中の代替労働のための費用なども,固定経費として認められたケースがあります。