名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.10.16 水曜日

確定遅延損害金について

先日、確定遅延損害金について調べる機会があったので、最高裁平成16年12月20日判決(判例時報1886号46頁)をまとめたいと思います。

 
事案を簡略して説明しますと、被害者AがYの運転するトラックに衝突され死亡したため、法定相続人である父親X等が損害賠償を求めたところ、Aの死亡に関連して支払われた自賠責保険金、遺族補償年金、遺族厚生年金について、まずは遅延損害金に充当されるのか否かが争われたものです。
 
これにつき、最高裁は以下のように判断しました。
「被上告人らの損害賠償債務は、本件事故の日に発生し、かつ、何らの催告を要することなく、遅滞に陥ったものである(最高裁昭和三四年(オ)第一一七号同三七年九月四日第三小法廷判決・民集一六巻九号一八三四頁参照)。本件自賠責保険金等によっててん補される損害についても、本件事故時から本件自賠責保険金等の支払日までの間の遅延損害金が既に発生していたのであるから、本件自賠責保険金等が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは、遅延損害金の支払債務にまず充当されるべきものであることは明らかである(民法四九一条一項参照)。」
 
 本判決は、遺族が受給した厚生年金給付などを損害額から差し引く場合に、法定充当の規定の適用があると判断したものです。理論上、不法行為による損害発生時に損害賠償請求権が発生し、その債権は同時に遅滞に陥って遅延損害金が発生するので、相当期間が経過した後に保険からの支払や給付を受ける場合には、元本ではなく遅延損害金に充当されることになり、被害者にとって有利となります。