名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.11.13 水曜日

大型特殊自動車を運転中にてんかん発作により意識を失い死亡事故を発生させた事案

有名な判決ではありますが、宇都宮地裁平成25年4月24日判決を改めて読む機会がありましたので記事にします。

  同事件は、加害者がクレーン車を運転中にてんかん発作を起こして意識を喪失し小学生を撥ね死亡させた事案ですが、加害者の母親にも損害賠償責任を認めました。
  すなわち、「母は、本件事故当日の遅くとも午前7時ころまでには、加害者がその前夜に服用すべきであった抗てんかん薬を服用していない状態で会社へ出勤しクレーン車等の運転に従事することになることを認識していたのであるから、会社に対して、加害者がてんかんに罹患していること及び本件事故当日は抗てんかん薬を処方どおりに服用していないから特に発作を起こしやすい状態にあることを通報するなどしていれば、会社において、加害者に対して事情を確認する等の措置を講ずることができ、少なくとも漫然と加害者をクレーン車の運転に従事させることはなかったものと認められる。そして,加害者が自宅を出た直後に母が会社に通報することは容易であったことからすれば,母がかかる措置を執っていれば本件事故の発生を回避することができたといえる。」と判断し、母の会社に対する通報義務を認めた上でその義務違反があると判断しました。
  加害者が未成年であれば、民法712条、民法714条1項により両親が責任を負うことはありますが、成年の加害者について損害賠償義務を認めた例はそれほど多くないのではないと思われます。
  類似の症状を有する子を抱える親は、注意を要します。