名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.12.22 木曜日

ペットについての慰謝料

車に愛犬を乗せていたら、交通事故に遭って、愛犬が大けがをしてしまったり、場合によっては亡くなってしまったりする・・・。決してあり得ないことではありません。

 そういった場合に、加害者に対して、ペットを傷つけられたことによる慰謝料を請求することはできるでしょうか。
 もし、事故で人が亡くなった場合、遺族には、亡くなったのが一家の支柱であれば2700万円~3100万円、そうでなくても2000万円以上の慰謝料が判例上認められています(この金額は、遺族の固有の慰謝料と、亡くなったご本人の慰謝料を遺族が相続したものを併せた金額です)。また、ご家族が重傷を負った場合でも、死亡したのと変わらないほどの精神的苦痛を本人や遺族が味わうことになったような場合には、上記水準の慰謝料が認められることになります。
 ご家族にとってみれば、ペットであろうと家族の一員ですから、ペットが亡くなったり、重傷を負ったことによる精神的損害も、上記と相違ないはずだという考え方ももっともです。
 しかし、現在の日本の裁判所では、ペットが亡くなった場合の慰謝料は、認められないか、認められてもかなり低い金額にとどまるのが通常です。
 それは、法律上は、ペットは、「物」と考えられているからです。
損害は、基本的には物損(車の損害のようなものです)として扱われ、そのペットの治療費(車でいう修理代)、しかも、そのペットの価値を上限とする金額(いわゆる経済的全損です)しか認められません。また、裁判例上、「物」を傷つけられたことによる慰謝料というのは原則として認められないことになっています。
 そうはいっても、家族同然のペットが死亡したり重傷を負ったことで家族が受ける精神的苦痛は、通常一般人であれば感じる合理的な損害と言えますから、一定の慰謝料は裁判例上認められてはいます。
例えば、名古屋高裁平成20年9月30日判決では、交通事故で下半身麻痺状態になった犬の飼い主2名にそれぞれ20万円の慰謝料を認めています。
それでも、人間の場合に比べればとても低い金額ですよね。
なお、上記裁判例は、飼い主側が、ペットに犬用シートベルトをさせたりしていなかったことで、1割の過失相殺を認めています。
もしペットを車に乗せる場合には、万が一の場合に備えて十分な注意と対策をすべきだと思います。