2019.07.22 月曜日

豊橋発:高次脳機能障害の典型的な展開はこんな風です。

交通事故直後,頭部に大きな衝撃があり硬膜下血腫などがあります。本人は意識を失い救急車で病院に運ばれます。意識は数時間から1日,時には何日も回復しません。

 やっと意識が回復したかと思いますと,事故のことは全く覚えておらず,変なことを言います。奥さんが訪ねてきても誰だか分かりません。その後,徐々に意識も判断力のしっかりしはじめ,普通の会話を徐々にできるようになります。でも,なんか変です。言葉がすぐに出てきません。あるいはよくしゃべってとりとめがありません。記憶がうまくできません。さっきのことをすぐに忘れてしまいます。簡単な計算ができません。
 性格が変わってしまいました。子供っぽくなり,甘えてきます。あんなにきつい性格だったのに丸くなり,時には従順になり,あるいはいつもにこにこしています。考える力が不足するため,自分が分からず,いつも不安があります。不安があるため誰かにいてほしいと甘えるのです。
 自分がよく分かりません。自分が変わってしまったことが分かります。でも,どうしようもなく,生きる方向を見失い,うつ状態になってしまいます。
 いろいろなリハビリが行われますが,やがては症状が固定し,障害を残したまま生活を続けることになります。私は交通事故での高次脳機能障害の事例をいくつも扱ってきました。その多くは夫が,妻が,あるいは両親が献身的に被害者に尽くしており,愛の深さを感じます。本当の愛というのはけっして派手なサプライズにあるのではなく,その人の人生を引き受ける強い覚悟の中にあります。

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