名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.21 火曜日

交通事故事件はなぜ人権事件か

 交通事故事件は誰でも遭遇する危険のある事件です。保険制度が整備されているのですが、それは加害者を保護することで結果として被害者を保護する仕組みとなっています。加害者と事故とは遮断され、保険会社が加害者にかわって賠償することになります。そのため、交通事故事件では被害者 vs.保険会社の図式で事件が展開します。加害者とは事故の最初にあっただけで最後まで会うこともなかったという事件がほとんどです。これは死亡事件という深刻な被害の場合であっても同様です。
 
 交通事故被害者と損保とは交通事故の情報、知識、解決のために利用できる資力において大きな差があってとうてい対等な交渉というわけにはいきません。損保は被害者のために動くという社会的責任があるのですが、公平が名当事者という立場ではなく、事件の対立する当事者として登場します。交渉や訴訟での力関係の差から、被害者に対して本来償いが必要な部分が賠償されないことが起きます。さらに深刻なのは、交通事故という理不尽な事故に対してやり場のない怒りや悲しみが解消されないまま、鎖でつながれたような重い固まりが心の中に残ることがある点です。
 
 私たちは公平とは言い難い交通事故被害者の現状は深刻な人権侵害があると考えています。それは、法の力によって少しでも対等な力関係が実現されるべき課題であると考えています。だからこそ、交通事故事件は人権侵害事件であると考えていますし、弁護士の力が必要な分野であると考えています。