名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.22 土曜日

脳脊髄液減少症が認められた事例 №4

 

 
 最近大阪高裁で脳脊髄液減少症が認められた判決が出た(H23.7.22、判時2132号46頁)。非常に重要な判例なので紹介したい。
 
 被害者は助手席に同乗して追突事故にあったのち、頭痛やふらつきが治らないため病院で診断を受けたところ外傷性脳脊髄液減少症と診断された。
 
 本件では脳脊髄液減少症と認定されたのであるが、被害者の損害はどのように算定されているだろうか。
 被害者はある会社の取締役であったが、特定部門の現場作業にも従事していた。判決は労働対価部分を基礎収入の80%と認定して休業損害、逸失利益などを算定した。
 
【休業損害】
  本件は平成15年7月3日の事故だが、本件ではブラッドパッチ治療が実施されたのは平成19年5月21日ことだ(症状固定日は平成19年12月11日)。判決文ではブラッドパッチ治療を受けたことで被害者の症状は顕著に改善したことになっている。
 
 この4年間、脳脊髄液減少症のために70%働けなかったと認定して、休業損害を算定した。これは逸失利益の労働能力喪失率に通じる考え方で、仮に病状が回復していなかったとしたら、喪失率は70%と認定された可能性がある。
 
  ただし、本件では労災給付(特別加入)を受けているので相当額損益相殺されている。
 
【逸失利益】
 ① 労働能力喪失率は症状固定日である平成19年12月11日の障害の程度を基準として5%とした。
 ② 喪失期間は5年とした。
 ③ 本例では中間利息の控除をしていない。おそらく、喪失期間5年の終了日が判決日に近いせいだろうと思う。 
 
【素因減額】
  損保側は治療が長期化したのは本人の心身症的症状が原因していると主張したが、判決文では証拠がないとして採用しなかった。