名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.06.26 月曜日

交通事故 画像所見のないが12級が認められた事例 №3

 

 当事務所が非常に力を入れていた事件の判決が出た。
これはMRIなど画像所見からは異常は認められないが諸事情を考慮して12級を認めた。さらに、39歳から67歳までの労働能力喪失期間を認めるという画期的なものであった。

 労災事件でもあるこの事件では、労災手続のみを利用して、自賠責の手続きは一切利用しないという方針を選択した。労災ではいろいろな証拠を提出して無事12級が認定された。そして、裁判である。
 
 後遺症認定を争う事件では、被告側(損保側)は自賠責事前認定、さらには異議申立結果に基づいて反論を組み立てる。私たちもそれが分かっていたため、最初から自賠責手続を利用しなかったのである。そのため、被告側はどのように反論を組み立てて良いか、おそらくよく分からない状況に立たされたのだろうと思われる。
 
 私たちは、まず労災手続の一切の資料を取り寄せた。この資料の中には当然地方労災医員の意見書も含まれている。もちろん、労災だから甘いという訳ではない。労災手続の中で、いくつかの医師の診断書も提出している。この事件で幸いだったのは、後医が非常に丁寧に被害者の症状を見てくれたこと、弁護士との協議に快く応じてくれたことだ。私と後医、被害者と協議して被害者の痛みがなぜ頑迷なのか、わかりやすく説明してもらった。
 
 こうして、私たちは労災の認定過程を主張の中心に据えて裁判を戦った。被告側は労災認定を覆す資料を提出しなければならないところ、これを提出できず、結局労災判断に従わざる得なかった。くりかえしになるが、自賠責の資料が全くない状況下では損保の動きは相当範囲封じ込められてしまうことがこの事件の重要な教訓となったのである。
 
 さらに、この判決にはおまけがついている。
 12級の後遺障害では、逸失利益算定の基礎となる労働能力喪失期間は通常10年から15年程度である。しかし、この事件では39歳から67歳までの28年とし、ライプニッツ係数は14.989であった。
 
 本件は画像などめだった所見がなく、最初の整形外科はよくなかった。しかし、シロウト目にも被害がひどかったし、被害者もそんな軽いはずではないと自覚していた。被害は必ずあると、損保に負けないという被害者の強い姿勢が勝訴判決をもたらした事例である。