名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.02.06 火曜日

過失割合の基準

交通事故の被害賠償の際、多くのケースで過失割合が問題となります。
その過失割合については、「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(以下、「当該本」といいます。)というものがあり、あらゆる事故態様についての過失割合の基本的な考え方が記載されています。
たとえば、自動車同士の事故なのか、歩行者対自動車なのか、バイク対自動車なのかなどの区別の他、事故現場は交差点か、交差点であっても信号機はあるのかなど、あらゆるケースが想定され、全部で300ケース以上が記載されています。
さらに、当該本は、基本的な過失割合に加え、見通しのよい場所だったとか、左折右折の合図を出していなかったなど個別のケースに存在する事情がどの程度過失割合に影響を与えるかも「修正要素」として記載されています。
ちなみに、当該本は、交通事故事件に関わる弁護士としてはまさに必携本というべきものです。私は、交通事故の法律相談の際は、いわゆる青本、赤本とともに当該本の3冊を携えています。
しかし、単に、すべて当該本に記載されている過失割合に従えばよいというものではありません。
事件は一つひとつ異なり、個別の事情が必ず存在します。
過失割合に影響を与えるのは当該本の「修正要素」に該当する事情だけではありません。被害者から詳細に事実を聴取し、ときには現場にも行って、アイディアが思い浮かぶこともあります。
被害者側の弁護士としては、当該本記載の過失割合を基本としつつ、特に事案ごとの個別具体的な事情があるのか、それは裁判になったときに立証できるのかなどといった見通しを下に、示談交渉にあたります。示談交渉が成立しなければ、過失割合に影響を与える事情を主張立証していくこととなります。