名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.08.03 金曜日

交通事故 事故との因果関係

運転中に心臓疾患や脳出血など、もともと身体に起因する原因で事故が生じて死亡した場合、被害に対する賠償問題は起こらない。

 
 つい最近も、そのような相談をうけた。普通、死亡事例では事故で亡くなったのか、病気のために事故が生じたのかすぐには分からないが、この事例では加害車両にモニターが設置してあって事故の瞬間が写っていた。事故まえに明らかに倒れていたことや、搬入された病院で素因が原因で運転中に倒れたと判断したため、いかんともしがたい状態だった。
 
 この素因が原因したと疑われた事例について最近ある判決が出されている。
 この事例は対面車線を逆走したために正面衝突事故を起こし、逆走した運転者が死亡した事例だ。遺族は損害保険に対して死亡による保険金の請求をした。
 
 損保としては被害車両が非常に不自然な動きをしたと感じたのだろう。損保側は運転直前にインスリンが投与された結果、異常な眠気をもよおし、事故に至ったと主張した。損保側は普通では考えられない動きだというのだ。
 
 これに対して、判決は糖尿病に起因した異常行動は立証されていないとして遺族の請求を認めた。
 つまり、次の思考パタンで損保敗訴の判決した(札幌地裁 H23.9.28、判タ1372号、204頁)。
 ① 本件死亡は車両の衝突が直接的な原因となって死亡したことには争い無い。
 ② そうであるなら、事故以外の疾患によって死亡したことを損保が立証するべき。
 として、糖尿病によって眠気をもよおし、運転が不能になったことを損保が立証しなければならないと判示した。
 
 これは糖尿病、強い眠気、異常運転について損保側が立証責任を負担するという考え方だ。