名古屋E&J法律事務所ブログ

2015.06.17 水曜日

自動車の盗難保険金請求事件において、盗難の事実が認められないとして請求が棄却された事例

今回は、保険金請求に関する名古屋高裁平成26年11月14日判決をご紹介します。
  事案は次のとおりです。
Xは、平成21年12月10日頃、本件車両を代金920万円余で購入し、その代金等784万円をローンにより支払っていたが、その代表者は、平成23年6月29日午前5時30分頃、X事務所敷地内の車庫に駐車していたところ、午前8時に戻ってきた際に本件車両がなくなっていたとし、自動車保険契約を締結していたY保険会社に対し、655万円の支払を求めました。これに対し、Yは、①Xの経営状況は極めて悪化して保険金を不正請求する動機があった、②本件車両には高度な防犯装置が装備されており、第三者による持ち去りは困難であった、③盗難場所は隣家の住民から見えやすい場所であった、④代表者の盗難前後の供述はおかしい点がある、⑤過去に数回の保険金請求があるなどと主張しました。
判決は、①本件車両の駐車状況等に関する代表者の供述等は、内容自体が物理的可能性の点で疑問がある上、不自然に変遷し、従業員の説明と齟齬するなど直ちに信用できない、②Xは、経営状況は芳しくなく、資金繰りがひっ迫しており、保険金を取得する動機を基礎づけうる、③Xは、本件保険契約に車内外身の回り品特約を付せ、多額の現金や運転免許証などを入れた財布や実印、通帳などの貴重品を本件車両に載せたままにしていて盗難にあったとの事故報告をしているが、かかる言動は不合理であるばかりでなく、高額な保険金を不正に取得しようとする意図をうかがわせるものといえるなどと判断し、本件車両の盗難という保険事故が発生したとは認めがたいとして、Xの請求を認めませんでした。
保険金請求事件においては間接事実の積み重ねが重要となりますが、参考になる判決だと思います。

(この記事は弁護士 吉浦勝正 が担当しました)
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