名古屋E&J法律事務所ブログ

2015.06.24 水曜日

交通事故 「心因」はなぜ減額されなければならないか

  ・・・・・・・・・・・・・・・・かなり難しい議論ですが。

 交通事故のストレスによって精神的障害を受けたというような場合、例えば、事故を原因としたうつ病、あるいは、心因的な原因による痛みなどについて、損害を認めつつ減額されることがある。それは、「素因減額」となったり、「相当因果関係」と説明されたりする。
 
 非常に難しい議論で一般の人にはわかりにくいかもしれない。
 素因減額というのは事故というストレスに曝されることによって、それに対する反応は人の反応は様々だというところに起因する。つまり、ストレスに強い人もいれば、ストレスに弱い人もいる。特別弱い人は、もとも弱かったのだから我慢すべきところもあるのではないかという考えだ。つまり、素因、もともとの弱さが被害を拡大している面もあるから、その部分は減額しようという考え方だ。
 
 この点、判例はこのように説明する。
 「個性の多様さとして通常想定される個体差の範囲」を超える弱さの場合は減額する。そうでない場合は減額しないという基準だ。一般にはこれでは抽象的すぎて分からないだろうと思われるが、法律実務では広く通用している。
 
 もう一つの問題は相当因果関係という考え方だ。
 つまり、被害者が交通事故ストレスに弱かった場合、普通ならばそこまでひどくはならないだろうと考えられると減額の対象となる。これは素因の問題との区別が難しい。裁判実務では素因の問題とほとんど区別なく使われている。