2016.07.01 金曜日
豊橋発:消費税、3%還元セールは許されるか
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消費税特別措置法の考え方によれば、平成26年4月1日以降、「合理的な理由なく通常支払われる対価よりも低く定める行為」は禁止される。
公正取引委員会のガイドラインによれば、合理性を欠く場合の例として「平成26年4月1日の消費税率引上げに際して,本体価格が100円の商品について,消費税率引上げ後の対価を105円のまま据え置く場合である。」としている。
注:なお、このような場合でも合理的理由ある場合は値下げは可能である。
一方で、消費者庁ガイドラインによると次のような場合には許されるという。
「たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの『3%値下げ』、『3%還元』、『3%ポイント還元』」
もちろん、この場合に消費税分「3%値下げ」というと違法になる。つまり、消費税増税との関係が明確でなければOKだというのである。
公正取引委員会のガイドラインと消費者庁のガイドラインとは一見矛盾するように見える。しかし、公取の方は、あくまで特定事業者間の取引の取引であって、特定供給事業者、つまり納入業者に対して合理的理由なく「3%値下げ」を求めることは違法であるという考え方になっている。
消費者庁のガイドラインは消費者と小売業者のとの関係であるため、消費税特別措置法「合理的な理由なく通常支払われる対価よりも低く定める行為」の禁止にはそもそも当てはまらない。
繰り返しになるが、問題になるのは納入業者に対して圧力が加えられ、価格に消費税転嫁を許さない行為を禁じようとしている点である。これは供給者の利益にかかわる問題で、消費者の利益の問題ではない。さらに言えば、供給者が自主的に値下げすること自体は許されるが、この点は別の記事で述べることにしたい。
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