2016.07.13 水曜日
豊橋発:宅建業者の説明義務
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中古住宅のブロック塀が境界を越えていた場合,買主は売主,宅建業者に対して損害賠償請求できるだろうか。
本件は中古住宅の敷地を画するはずのブロック塀が越境しており,しかも隣側に傾いて崩壊の危険があるものであった。このブロック塀自体は古い物なので,売主のものか,お隣のものかはっきりしない状態であった。
こうしたブロック塀の存在は土地の瑕疵として扱われる。ブロック塀が土地の一部であるというのは妙な話であるが,土地の定着物は「不動産」の一部として扱われている(民法86条1項)。どういう点で瑕疵があるかは問題の一つではある。
結局,本件では越境したブロック塀があることで,ブロック塀の所有権が争いになり,ひいては境界,所有権の範囲の争いになる。ブロック塀が買主のもの(土地の一部なので売買によってブロック塀の所有権も移る)とした場合には崩壊について責任を負わなければならなくなるおそれがある。といった紛争の種を残すいわくつきのブロック塀となる。
判決は「法律状態が不安定」であることの説明を欠いたとして売主,宅建業者の説明義務違反があるとした(東京地裁H25.1.31判事2200号86頁)。売主はブロック塀に問題があることを知っていたのであるから説明する義務があった。これは売買に付随して認められる義務である。
宅建業者については,こうした問題について常に責任を負うわけではない。宅建業の責任には説明すべき「重要事項」があるが,宅建業法35条に定められている。本件では売買契約締結時までに宅建業者はブロック塀に関する情報を入手していたため,裁判所は説明責任を認めたのである。
宅建業者は土地の事情について知っている場合には説明責任がある。
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