2017.01.10 火曜日

豊橋発:理研! 負の連鎖は企業にとって他人事ではない。

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 理研は負の連鎖が止まらなかった。小保方さんはどうしているんでしょう。STTAP細胞にはずいぶん期待したのですが、残念です。

 とは言え,弁護士の立場から見ると「負の連鎖」という現象はちゃんとと理解する必要がある。負の連鎖うというのはある種の「力学」的なバランスが崩れ,片方が崩壊していく過程のように見受けられる。一般企業でも不正が発覚したとき,ある種の「力学」が破れると一気に崩壊していく過程が存在する。経営者としては理研の教訓をどのように読み取るべきだろうか。

 たとえば,企業に会計上の不正が発覚し,税務調査が入った場合,あるいは納入商品に欠陥が発覚し消費者に被害を与えた場合,請負の過程で品質を左右する重要なプロセスを省略したことが発注先に分かってしまったような場合,生産地の偽装が発覚してしまったような場合など,企業にとって理研と同じような局面はたくさんある。

 こうした場合,負の連鎖がやってくる。
 それは,コップの水が満水になり,関を切ったようにこぼれ落ちていく様子に似ている。 企業としては内部処理でなんとか穏便にしようと努力するのだが,それが限界に達し,こぼれ落ちるように事実の解明と,責任の追及が次から次へとやってくるという状態だ。この感覚は私たち弁護士にとっては「力学」的バランスの崩壊ととらえる感じがある。

 この場合の「力学」というのは対抗する勢力との「力関係」となる。理研の場合であれば,メディアを中心にした世論との対抗関係ということになるだろう。
 企業の税務調査ということであれば,国税局との対抗関係になるだろうし,下請けでの不正は発注先との力関係ということになるだろう。

 こうした,局面では弁護士の力が大きい。

 私たちは本来不正を抑止するべき立場だが,一旦起こってしまった事態に対して被害を最小限にとどめる任務もある。そこで,ここでの力関係の具体的意味を経営者は理解し,その分析を弁護士とともに行い,弁護士とともに時々の方針を確定する。もやは逃げられないと判断すれば,全てを明らかにした上で責任を最小限にとどめる行動に移るし,それでもだめだとすれば,好きにしろと開き直ってしまうこともある。このさじ加減が重要だ。

 力関係の要素は何だろうか。
 ① まずは証拠関係をどれだけ双方が握っているかによって決まる。理研の問題は論文画像の流用から始まったが,さらに実験に使われた細胞そのものがすり替えられているという疑惑まで発展した。これはメディアが多くの証拠を握ってきたからだ。

 ② 次に,証拠を組み立て,評価する能力の差によって力関係が決まる。理研でもいくつかの専門情報が手に入り,多くの研究者が評価に参加することによりメディアは証拠を評価する力を身につけてきた。

 ③ 三番目には追及する場を持つかどうかによって決まる。税務署であれば税務調査という権力的な行動がある。親事業者であれば,それなら取引中止だという強制力で無理矢理追求する場を作ることができる。理研では世論や政府の追及があった。