2017.01.23 月曜日

豊橋発:タイムカードをめぐる攻防

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 タイムカードは労働者の労働時間を機械的に記録するもので,労働時間,勤務態度を把握の重要資料になる。そのため,未払い賃金や労災など労働関係事件ではタイムカードをめるぐ攻防が少なくない。
 
 労働基準法108条は賃金や労働時間など労働条件にかかわる資料の作成や保存を義務づけている。これを怠った場合に罰則によって担保されている。タイムカードは労働者の労働時間を把握する上での元資料となるものであるが,やはり労働基準法108条が保存を求める重要資料である。
 
 さらに,タイムカードは労働基準監督官から求められれば提出義務を生じ(労基法101条),同じく罰則によって担保されている。
 
 このタイムカードはいった誰のために作られるのであろうか。
 もちろん,労働者の管理のために利用するのであるから経営側としては経営者が賃金台帳を正確に作成するための資料という位置づけはあるだろう。
 
 しかし,本質的には「労働者の基本的人権を保護することを主な目的として,法令により使用者に対して罰則の下に調製,保存,行政機関への提出を義務づけている」とされている(大阪高裁H25.7.18,判事2224号52頁)。
 
 こうした事情から,裁判になってタイムカードの提出を労働者側から求められると,経営側としては提出せざる得ない。さらに,裁判前であっても「証拠保全」と言って裁判所が職場までやってきて提出を求めることがある。
 
 上記の大阪高裁の例は長時間労働によってうつ病になり自殺した労働者の事例であるが,労働者の遺族にとっては会社内部のことがなかなか分からない。そのため,こうした会社が保存する記録の提出を求めていろいろと攻防が繰り返されていくのである。
 
 ちなみに,この大阪高裁の事例は関連する他の労働者のタイムカードの提出も求められ,認められた。