2017.02.27 月曜日

豊橋発:アジアの製造物責任

 法律相談はE&J豊橋法律事務所の弁護士が対応いたします。
 
   製造物責任は製造者や販売者に責任を負担させるという責任だ。どの国でも賠償を請求する者が自らの権利を立証しなければならないのが原則だ。しかし,消費者など製品購入者側がそれを立証することはかなり難しい。そこで,こうした消費者の負担を減らし賠償が適切に行われるようにするというのが製造物責任の考え方だ。
 
 製造物責任に関する法律は我が国でもあるし,欧米はもちろん,中国,タイ,インドネシアといったASEAN諸国にもある。製造物に対する責任のレベルはいろいろあるが,リコールと結びついたり,中国のように行政上の取り締まりや,刑事責任をも結びついたりするものもある。
 
 どの国でも製造物責任は設計,製造,販売の各過程で問題となる。設計や製造の欠陥から製品の安全性が欠けるようなことになれば製造物に対する責任としてわかりやすい。さらに注意を要するのは指示・警告上の欠陥と呼ばれるものも含むので注意を要する。
 
 米国では,その80%が指示・警告上の欠陥にかかわる紛争という報告もある。中国などでも,取扱説明書の翻訳が間違ったり,輸入業者が品質に関わる説明や証明がないために製造物責任が追及されてしまった例はめずらしくない。
 
 製造物責任の主な内容はそれが商品の「欠陥」よるものであると証明された場合には原則責任を負うという無過失責任を定めている点だ。正確には立証責任が転換されたりして無過失責任に近くなっているという立法例もある。ともかく,「欠陥」→「被害」の因果の流れが立証されれば賠償責任を負うことになる。
 
 問題は責任の範囲が各国によってけっこう違う。
 
 一番恐ろしいのは米国だろう。
 米国では民事陪審制度や訴訟費用の敗訴者負担という制度があって賠償金額が異常に膨らんでいる。民事陪審制度というのは市民が陪審員として裁判に参加して賠償額を決めるというものだ。自動車の欠陥で生じた死亡損害の場合,中央値で300万ドルとう報告がされている。日本の場合,死亡事故でも1億円を超えることは少ない。
 
 中国の場合,製品品質法が制定されており,責任発生の根拠は他の国の製造物責任法と類似している。しかし,これとは別に権利侵害責任法や消費者権益保護法などのほか各省に条例があってきわめて複雑な内容となっている。
 たとえば,PL責任のうち,指示・警告上の欠陥だけが問題になるだけでなく,業者が発行した説明書あるいは保障したと考えられる品質を備えない場合であっても賠償責任が生じる場合がありうる。
 また,行政罰や刑事罰もあわせて定められている。損害賠償分野できわだっているのは懲罰的な賠償が認められている点だ。
 
 ASEAN各国にもPL法はもうけられている。
 タイについてはおおむね欧州や日本と似ているが,懲罰的賠償責任制度が導入されている。また,消費者保護団体による団体訴権が認められている。
 
  EUではEU指令に基づいて各国の法整備がされている。日本はおおむねEUと似た制度になっているようだ。