2017.03.27 月曜日

豊橋発:在庫を担保にした借金

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 在庫を担保にして借金をすることがある。
 在庫というのは法律上は集合物と言って,特定の範囲の動産類をまとめて一つのものと扱うことができる場合がある。
 
 在庫は売ったり買ったりして者の出入りはあるものの,全体としては一定の価値をいつも維持している。その点に注目してひとつの塊に価値を認めようというものだ。
 
 こうした集合物を担保に入れる場合には,しばしば譲渡担保という方法が利用される。譲渡担保というのは債権担保のために一旦権利を譲り,借金を返済した場合には権利を返すというような方式をとる。通常は担保として提供してもそのものの利用は続けられる。
 
 集合物が譲渡担保として提供されると,形式上の所有者は貸し主に移ることになる。もとの在庫所有者は,在庫を預かっていることになるので,きちんとする管理する義務が生じる。つまり,在庫の価値が損なわれないよう,管理しなければならないし,商品が売れて在庫が減れば在庫を補充する義務が生じる。
 
 この譲渡担保の最大の魅力はめいどうな執行手続きを経ること無く在庫を処分できることだ。たとえば,借り主が不渡りをだして倒産してしまったような場合,譲渡担保権者はいち早く在庫をひきあげ,資金回収を図ることができる。
 
 通常ならば,競売など公的な手続きを経ることになるが,譲渡担保契約をしていると形式的には貸主に所有権が移っているので,貸し主は担保権を実行するために商品を売ってしまうことができる。
 
 なお,譲渡担保は形式的には権利の移転であるが,実質担保であるため,二重にも三重にも譲渡担保を設定できる。この場合の順序は譲渡担保契約締結の時期(実際には占有改定時期というちょっと難しいことばを使う)によって決まる。早いほうが優先する。
 
 本来,担保権の私的な実行を許すというのが譲渡担保の特徴であるが,2番目以降の担保権者は引き上げができない(最高裁平成18年7月20日,所有権確認訴訟判決)。
 この事例は25億円借りるために,養殖場のブリやハマチなどを集合物として譲渡担保にした事例だ。最初の譲渡担保契約の後に,10億円,30億円を限度とする債務について譲渡担保契約を締結した。