2017.04.05 水曜日

豊橋発:パワハラ対策

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 パワハラという言葉は分かりにくい言葉だ。厚労省の「職場のパワーハラスメント対策の推進について」という通達(H26.4.3発0403第1号,基発0403第2号)では,「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義している。
 
 
 これだけでは分からない。
  「職場内の優位性」を利用して,たとえば職場の上下関係を利用して執拗に叱責するなどするとパワハラの領域に入ることになる。しかし,職場内で上司・部下,先輩・後輩などの関係を通じて指揮命令があったり,指導・教育することは必要なことだ。
 
■ 川崎水道局事件(横浜地裁川崎支部H.15.3.25,東京高裁H15.3.25)
  川崎市(Y1)の水道局の工事用水課工務係に配属されたAは、その約一か月後を経過すると、同課課長Y2、同課事務係長Y3、同係主査Y4から職場におけるAの存在を否定するかのような発言やときには果物ナイフを客室内で突きつけられるなどのいじめや嫌がらせを受けた(約六か月にわたるいじめがあったと認定)ため休みがちになり、医療機関で治療等を受けていたが、その後、配属から約二年後にY3ら三人への怨みの気持ちが忘れない旨の遺書を残して自殺をした。
 
■ 誠昇会北本共済病院事件(さいたま地裁H16.9.24)
  新入社員に対して集団で使い走りをさせていた上,「死ねよ」繰り返し,さらにコロッケを投げて口にくわえさせ落とせば拾わせて食べさせるなどする等のイジメが繰り返させ,さらには仕事中のミスをとらえては罵詈雑言をなげかけ時には手を出していた。そのため,被害者は自殺に到った事件で病院の管理責任を認めた。
 
■ 損保会社サービスセンター損害賠償事件(東京地裁H16.12.1,東京高裁H17.4.20)
  損保会社サービスセンター所長らのパワハラが争われた事例。損保会社センター課長代理に電子メールを送りつけた行為がパワハラではないかと争われた。一審は上司の指導,叱咤督促の範囲として請求を棄却したが,控訴審は行き過ぎがあったとして認容した。この事例は「意欲がない,やる気がないなら,会社を辞めるべきだと思います。当SCにとっても,会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績を上げますよ。」などのメールが問題になった。