2017.04.14 金曜日

豊橋発:抵当権と租税,どっちが優先?

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 私が所属する愛知中小企業家同友会の会員である司法書士の先生から教えてもらったのだが,租税債権というのは私たちの予想以上に強く優遇されている。弁護士も全てを知っている訳ではないな。

 
 国税や地方税と言った地方債権はどのような債権にも優先して支払われるというのは私たち弁護士は常識的に知っている。会社を建て直したいと思うのならまずは租税関係の債権(社保も含む)の支払いを考えなければならない。しかし、どのくらい優遇されているかとなるとなかなかわからない部分がある。
 
 たとえば、私は次の条文は知らなかった。
 「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。」となっている(国税徴収法第8条、なお地方税法第14条にも同様の条文がある)。
 
 専門的になるが,この「納税者の総財産」というのが問題だ。抵当権の優劣関係は次の様になる。
 
  これは抵当権設定時期と納税の法定納期限との前後できまる。
 ① 抵当権設定時期の方が先 → 抵当権が勝つ
 ② 抵当権設定時期と法定納期限とが同じ日 → 抵当権が勝つ
 ③ 法定納期限が先 → 租税が勝つ
 
 国税が抵当物件を差し押さえた場合,差押の登記よりも抵当権設定登記時期が早い場合でも抵当権が負けることがある。
 
 つまり,差押えが後の日でも,法定納期限が抵当権設定時期より先である場合が租税債権の方が優先する。
 
 国税徴収法16条は「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。」と定めている。
 
 これは「納税者が国税の法定納期限等以前」の場合は抵当権が優先する。すなわち,逆の場合は国税が優先するということになってしまって,上記の①から③の原則に従って処理される。
 
 私たちの常識からすれば,法定納期限は登記で表示されないので,外部からはわからない。それでも国税が優先する場合があるというのは常識に反するように思われるが,国税は国家権力なので,国家がそう定めればしかたがたない。
 
 このような考えになるのは国税は「総財産」について全ての債権に優先する(国税徴収法8条)というので,抵当権があろうがなかろうが本来優先しているのだと考えるのだ。
 
なお,担保物権と租税との関係の条文は次のとおり
抵当権については国税徴収法第16条、地方税法第14条の10
質権については国税徴収法第15条、地方税法第14条の9
仮登記担保権については国税徴収法第23条、地方税法第14条の17