2017.05.15 月曜日

豊橋発:土壌汚染と土地売買

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不動産法務の分野では土壌汚染と土地売買が最も難しい問題の一つになっている。経済が変化し,工場が住宅地やショッピングモールになることも少なくない。古い廃棄物処分場が住宅地に変化することもある。

 環境規制が進み,かつては問題が無かったものでも,今日では問題視され,除去命令が出されてしまうということもある。また,10数年を経て,環境基準値を上回るような有害物質が検出されたような場合,土地の値段が下がるばかりでなく,周辺環境に影響を与えるような場合は除去しなければない場合もある。

 これを買主は災難だと思ってあきらめるか,誰か,たとえば売主に損害賠償を求めるのか,これは難しい問題だ。

 土壌汚染の場合,大気や水と異なった特徴がある。土壌は移動が容易でないし,拡散や希釈というようなこともない。しかし,一方でひとたび汚染されると容易に除去できず,揮発したり,地下水となって人の生活に影響を与えていく。土壌からの収穫物や,汚染された魚介類を通じて人体に影響を与えてくる場合があるかも知れない。

 こうした問題について,環境基本法の下,特定の物質について環境基準が定められていた。これはもっぱら地下水を射程にいれたもので,この基準を超えるからと言って直ちに土地所有者や土地利用者がなにかしなければならないという性格のものではなかった。

 しかし,平成15年2月15日に土壌対策法が施行され,特定の物質について具体的な規制が始まった。特定の物質が土対法に基づく基準を超えた場合でかつ工場廃止など利用形態を変えるような場合や特別に必要な場合は都道府県知事は区域指定し(5条1項),区画形質の変更の届出など一定の行為規制を行う。また,人の人体に影響を与えるような場合は土地所有者は除去を命ぜられることがある(7条1項)。

 土壌汚染が土地価格にどう反映するかについても,上記の環境規制との関係で変化がある。平成14年には不動産鑑定評価基準が改正され(平成15年1月1日施行),土壌汚染が土地の価格形成要因であるとされることとなった。

 法全体の流れから言えば,土対法改正前は土壌汚染については環境基準以外の規制は無い。つまり,土対法がないため特別な対策は求められていない。そのため,土地売買においても土壌汚染はそれほど重視されていなかったとも言える。

 こうした流れからすれば,平成15年を境にして土地の売買のあり方は変わったと言うこともできる。たとえば,平成13年ころ土地を売買して,最近になって高濃度の有害物質の存在が確認されたような場合は売主としては責任を負わない方向で作用することになる。

 一方,最近の取引では土壌に有害物質があるかどうかは土地価格や土地用途に関わる重大な問題となるため売主としての責任を負担する方向で作用することになる。従って,最近の土地取引では土壌汚染に関わる契約書の工夫は必要という結論となる。

■ 土地取引と土壌汚染の関係に関わる裁判例
1. 土地売買契約後に法令に基づく規制対象となったフッ素が基準値を超えて含まれていたような場合について,土地の瑕疵に当たらないとした(最判H22.6.1判タ1326号106頁)
2. 売買された土地に土壌汚染があった事例について,錯誤は否定したが説明義務違反を肯定した事例(東京地裁H18,9.5判タ1248号230頁)
3. 土壌に六価クロム及び鉛が含有していたことから売主の瑕疵担保責任を認めた事例(東京地裁H23.1.20判タ1365号124頁)
4. 工場跡地の売買契約において土壌中にアスベストが含有されていたことについて売主の瑕疵担保責任を認めた事例(東京地裁H24.9.27判タ2170号50頁)
5. 工場跡地をガソリンスタンド用地として購入した売買契約において,土壌中に有害物質が含まれたことが判明した場合について,想定外の汚染ではあったが錯誤,瑕疵担保責任,説明義務違反は否定した事例(東京地裁H24.5.30判タ406号290頁)

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