2013.10.03 木曜日

豊橋発:「過失相殺と損益相殺 どちらが先か」

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損害賠償の金額を計算するとき,過失相殺と損益相殺による減額が問題になることがあります。
 
このうち,過失相殺は,被害者側に事故に落ち度がある場合に,その落ち度の程度に応じて損害賠償額を割合的に減額するというものです。
これに対し,損益相殺は,交通事故に関連して保険金等の給付を受けていた場合,その受けた給付金額を賠償金額から減額するというものです(過失相殺と損益相殺は,どちらもホームページにも記述があります。http://nagoya-jiko.net/symptom/calculation.html)。
 
では,この過失相殺と損益相殺の減額は,順番的にどちらが先に行われるのでしょうか?
 
結論から言いますと,多くの場合は過失相殺が先になります。
例えば,自賠責保険や任意保険,それに被告側からの既払金については,先に過失相殺を行って,全体の損害賠償金額から過失割合を減額します。そのあとに,損益相殺ということで,これらの既払金額分を減額します。
 
しかし,健康保険からの給付金については,逆に,先に既払金額分を全体の損害賠償金から減額します。そのあとで過失相殺を行います。
 
この過失相殺と損益相殺の処理について,一見,どちらが先でも変わらないようにも思えます。
しかし,過失相殺は全体の金額から一定の割合を差し引くの処理なのに対して,損益相殺は定額の金額を差し引く処理です。そうしますと,先に損益相殺をして一定金額を賠償金額から差し引いてから過失相殺の処理を行った方が,過失相殺で割合的に差し引かれる金額は減りますので,被害者側には有利なことになります。
 
(例)損害賠償金1000万,損益相殺の対象になる金額が100万,過失割合3割の場合
 過失相殺が先だと,1000万×0.7=700万 700万-100万=600万 600万円が損害賠償金額
 損益相殺が先だと,1000万-100万=900万 900万×0.7=630万 630万円が損害賠償金額
 
ですが,損益相殺が先になるのは,上記のとおり,健康保険の場合以外はあまりないことになっています。
 
なお,労災保険からの既払金については,過失相殺が先という最高裁判例がありますが,実務上は争いがあります。