2013.10.10 木曜日

豊橋発:ETCでの交通事故 過失割合は?

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   最近では,ETCの利用もすっかり定着していると思います。 ただ,それに伴い,ETCでの事故も多く起こるようになってきています。
 
 

 特に,ETCレーンのゲートが開かないために前の車が急停止して,後続車が追突するような事故がしばしば起きています。 この場合,通常の道での追突事故と比べると,過失相殺の割合に違いはあるでしょうか?
通常の道の場合での追突事故は,後続車の方が非常に責任が重くなっています。前の車が正当な理由なく急ブレーキしたといった事情がない限り,後続車の前方不注視や車間距離を空けなかったといった一方的な過失によって事故が起こったとみられてしまうために,後続車が100%の責任を負うことが多いです。 そして,下記のとおり,ETC関連の最近の裁判例を見ていると,後続車が通常の道の場合と同様に重い責任を負うことが多いようです。

 

 例えば名古屋地判平成19年4月20日の事案では,前の車がETCカードを装着していたものの,配線不良のためにゲートが開かずに急停止したために後続車と衝突したケースで,①前の車について,自動車点検基準の点検項目に配線までは挙げられていないことなどから配線不良を確認する義務はないこと,②ETCゲートは、ETC車載器と路側無線装置等との間で有効に通信ができない場合に,ETCゲートを開かないままにすることで車両を停止させるために設置されたものなので,ETCゲートが開かない場合には運転者はその手前で停止する義務があるから,前の車が急停車したことには正当な理由があり,前の車には過失がないこと,を理由として,後続車の過失を100%としています。

 次に,東京地判平成21年7月14日の事案では,東名高速道路におけるETCシステム利用規程より,(1)ETC車線では20キロ以下で、かつ、安全の確保できる速度で進入すること,(2)前方の車が停車することがあるので、必要な車間距離を保持すること,(3)20キロ以下でかつ安全の確保できる速度で通行することなどが求められていることから,後続車は前の車の停止まで想定してETC車線への進入,通行をしなければならず,必要な車間距離を取ることが求められていると判断されました。そして,仮に前の車がETCカードの書き込みエラーがあって急ブレーキをかけたとしても,前の車の過失は認められないとして,やはり後続車の過失が100%と判断されました。
 

 次に,東京地判平成21年11月5日の事案では,①前の車にETCカードの挿入し忘れがあったこと,また②ETC専用車線で起きた追突事故であったので,後続車にとって前の車が停止せずに料金所を通過する期待は大きいと考えられることを理由として,後続車の過失80%,前の車の過失20%と判断されました。

 以上のように,最近の裁判例を見ても,ETCカードの入れ忘れがあるようなときでようやく前の車の過失が1割2割認められるというくらいで,ETCゲートが開かずに前の車が急停止した場合では,通常の道路の場合と同様にやはり後続車の方に一方的に過失があると判断される傾向が強いです。 ですので,ETCゲートを通る際には,しっかり減速し,また前の車との車間距離をしっかり空けるように心がける必要があります。