2013.12.02 月曜日

豊橋発:交通事故と破産① 加害者が破産した場合の問題

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「交通事故と破産① 加害者が破産した場合の問題」
 
 
交通事故が発生した後,仕事を失ったり,あるいは元々借金を抱えていたり等の理由で,加害者側,被害者側のそれぞれが破産をするという場合が考えられます。その場合,被害者の交通事故の損害賠償請求権にどのような影響があるかについて検討したいと思います。
第1回は,加害者が破産した場合の問題です。
 
 
加害者が破産した場合,原則として,破産するまでに負っている債務は免責されることになります。そうすると,交通事故による損害賠償債務も免責されてしまって,その結果,被害者側が救済されないことになってしまわないかが問題になります。
この場合,以下の①~③のように,任意保険や自賠責保険があるかどうかによって,救済される場合が変わってきます。
 
①加害者が任意保険に加入している場合
 この場合,たとえ交通事故が発生した後に加害者が破産をしても,任意保険の保険会社に対して被害者が直接請求できる規定が保険の約款で定められていれば,加害者の破産に影響されずに,保険会社に賠償請求を行うことができます。
 これに対し,保険会社に被害者が直接請求できる規定がない場合,保険金の請求権が破産財団に属することになってしまいます。ですが,それでも保険法22条で先取特権という一種の優先権が認められているために,保険金請求権はなお保護されることになります。
 
②加害者が任意保険に加入していないが,自賠責保険はある場合
 この場合も,やはり保険法22条がありますので,先取特権が認められることで,保険金請求権は保護されます。
 
③加害者が任意保険に加入しておらず,自賠責保険もない場合
 加害者が自転車を運転していたような場合が,この場合に該当することになります。
 この場合,保険金請求権がない以上,保険法22条のような保護もないことになってしまいます。
 ただ,破産法253条1項3号より,破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権については免責されないことになっていますので,無謀で悪質な運転による事故の場合は,なお損害賠償請求権が残ることになります。
 しかし,そのような悪質な事故の場合だけに請求できる場合は限られますし,そもそも破産するほど資力がない状態の加害者に対して,現実的に賠償請求をしても金銭的な回収を得ることは難しいという問題があります。
 
 この③の場合,被害者が全く救済を得られない結果が生じることがありえますので,被害者救済のために,制度上のより一層の手当てが望まれるところです。