2014.02.28 金曜日

豊橋発:ワークシェア

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 リーマンショック以降の急激な不況下でワークシェアという言葉がずいぶん使われた。不況下、仕事そのものが急激に減ってしまった。一時は前年度比30%なんていう地獄のような状態もあった。少ない仕事を社員で分け合い、何とか事業を維持していくというのがワークシェアの考え方だ。
 
 雇用契約の基本は民法623条だ。「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。 」とされ、これが雇用契約の基本形だ。この法律ができたのは明治時代だが基本は変わらない。
 
 しかし、雇用は労働者にとって生活、生き甲斐を得る重要な機会であるから、単純に民法に従うわけにはいかない。労働契約法を始めとした様々な規制があるほか、雇用に伴っては社会保険制度が発達し、労働者の生活を守っている。雇用の確保は社会安定の要であることは誰もが疑わない。
 
 ところで、ワークシェアというとき、休業、時間的短縮などがある。最近は雇用調整助成金制度があって大いに威力を発揮している。もっともこれはその場しのぎのカンフルのようなもので、依存性があるため使いすぎに対しては注意を要する。
 
 一般にワークシェアは雇用者の都合によって働かせない一方で賃金を減額する企業政策を言う。ノーワークノーペイだということだが、単純ではない。働かせないというのは雇用者の都合で労働の受け取りを拒否するということになる。民法の原則からすれば、理由無く受領拒絶した場合は対価は支払わなければならない。
 
 つまり、単に帰休制を使うとか、時間短縮を行うという一方的な宣言だけでは賃金をカットすることはできない。契約は契約だから合意によって変更するのがまた民法の原則ということになる。
 
 判例の流れからすれば、「労働者のこうむる不利益の程度、使用者側の帰休制実施の必要性の内容・程度、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応等を総合考慮」し、「労働者に受忍させることを許容しうるような合理性」が認められるかどうかがワークシェアに応じて賃金カットできるかどうかのポイントとなる(池貝事件、横浜地裁H12.12.4)。
 
 これは、次のような視点で整理するとわかりやすいかも知れない。
 ① 【現実的必要性】仕事の急激な減少など実態として、賃金カットの必要性があるか。
 ② 【手続的妥当性】労働者に十分な情報を開示して説明したか。
 ③ 【公平性】労働者間の公平を確保したか。