2014.03.17 月曜日

豊橋発:ソフトウェア開発と契約

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 ソフトウェア開発という知的商品のは値段があってないような気がしてしまう。シロウトからみると、高すぎるじゃないかとか、商品の品質は大丈夫なんだろうかとか分からないだけに疑り深くなる。
 
 これは弁護士かも同じかも知れない。分からないだけに、ひとたび不信感を持つと際限なく疑われてしまう。一つ、一つの信頼の積み重ねは本当に大切だ。「安心と信頼」、これは専門領域の取引では絶対に必要なことがらだ。
 
 ところで、最初は漠然としていて、顧客との協議の過程で徐々に具体化していくような契約、ソフトウェア開発契約はどのようになっているだろうか。
 
 東京地裁の事例では人材派遣業務システムに係るコンピュータのソフトウェア開発委託契約が問題になった。どんなシステムを作るかについて当事者が協議を重ねたが、顧客の要求がどんどん膨らんでいって、契約の範囲で作成できなくなり、製作会社が開発契約を解除した事例だ。
 
 全体で840万円の契約なのだが、解除によって打ち合わせに要した費用や、システム完成を前提に支出した営業費用など合計で1億2078万1454円が請求された。この金額の差をみると原告の請求になんだか無理がある感じがする。つまり、このソフトを前提に1億円を超える営業費をつぎ込むような開発であったとすれば、そのソフト開発費がわずか840万円というのはいかにも小さい気がしてしまう。
 
 判決では原告の要求が過大であったため、当初契約の範囲でできないとして解除したのは正当であったと開発業者が勝訴している(判事2096号80頁)。
 
 この業界の言葉なのだろうか、開発内容を決めるために「要件定義」というプロセスがあり、「機能要件」と「非機能要件」と分けられ、各項目の定義を明確にして当事者で合意し、「要件定義合意書」を作成するのだそうだ。また、「システム設計」というプロセスがあり、注文者からの視点からどのようなソフトウェアを開発するか決める工程があるのだそうだ。
 
 本件はこの両方を取り決めることに失敗した。注文者側のエンジニアが張り切りすぎてあれもこれも要求しところに失敗があるように思われる。会社もうまくエンジニアを雇うことができなかったというところか。