2014.04.08 火曜日

豊橋発:会社分割で借金から逃げられるか?

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 依頼者のために会社分割の問題を整理している。
 
 会社分割によって借金を分割会社(旧会社)に残して、新会社で経営する、そんなことはどこまで可能だろうか。
 
 分割会社の債権者が新会社(承継会社、新設会社)に債権を追及する判例がだんだんと出そろってきた。判例タイム1337号にはこの点に関する論文が掲載されている。取り残された債権者の追及手段としては次のものがある。
① 会社分割無効の訴え(会社法828条)
② 名称続用責任(会社法22条1項の類推適用)
③ 詐害行為取消権(民法424条など)、否認権(破産法160条)
④ 法人格否認の法理
 
 このうち、①は使えない。特定局面に限って④は分割そのものを否定する理論であるが、ひとたび成立している会社を否定することはきわめて難しい。判例などから判断してもっとも有効な手立ては②と③だろう。
 
 但し、②については同一もしくは類似の商号を続用する必要があるから利用できる範囲は限られている。会社分割で借金を逃れているとする事例で有効なのは③の方法ということになる。
 
 詐害行為取消権というのは、債務逃れのために借金を隠したり、移転したりした場合にそれを取り戻す手続きだ。会社分割を一種の財産隠匿行為と見て、権利譲渡の一部を否認して取り戻そうということになる。この詐害行為取消権の構成については徐々に判例も整理されつつある。おそらく判例の傾向は肯定的にとらえているように思われる。
 
 しかし、このような事例では会社分割がない場合にはどのみち会社は倒産していく。組織そのものの芽が失われたのでは返済も何もあったものではない。どうせ、返済が困難であれば、部門を独立させて組織の生命を維持することは社会にとっても、社員にとっても経営者にとっても有益だ。
 
 債権者は損をするが、どのみち会社は破産していく。債権者は会社の持続に協力しないまま、ただ取り立てようという発想のしっぺ返しを食ったとも言える。裁判所は債権者平等と言って取消権の行使を認める例があるが、これは組織を解体して精算することこそが正義で、組織を持続させることは2番目という発想だ。