2014.04.08 火曜日

豊橋発:交通事故加害者に対する損害賠償請求と人身傷害保険①(人身傷害保険からの支払いが先行する場合)

「法律相談はE&J豊橋法律事務所の弁護士が対応いたします。」

 

 人身傷害保険とは、自動車の人身事故にあった場合、過失割合に関係なく、被害者が加入している任意保険会社から、保険金額の範囲内で保険金が支払われるものです。人身傷害保険に加入していると、こちらの過失分も含めて損害額の全額が補償されることになります。
ですから、事故にあった場合には、相手方への請求を考えると同時に人身傷害保険の有無を確認することが不可欠です。ただ、一口に人身傷害保険といっても、様々な文言で規定されており、実際には、その特約の文言解釈になります。どのような文言になっているかは注意が必要です。
ところで、人身傷害保険と加害者に対する損害賠償請求はどのような関係に立つのでしょうか。
今回は、人身傷害保険からの支払いが先行する場合について考えます。
この場合は、判例が確立しており、裁判で加害者に対して損害賠償請求をする場合、裁判基準の損害総額から、それ以前に人身傷害保険から支払われた部分を控除した残額全部を請求できます。
例えば、全損害(裁判基準)が、1000万円で、人身傷害保険から400万円が支払われているとします。この場合に、過失割合が、こちら2:加害者8だったとします。この時、こちらが請求できるのは、1000万円に過失割合をかけた800万から人身傷害保険から払われた400万円を引いた400万円ではありません。1000万円から人身傷害保険から払われた400万円を引いた600万円を請求できるということです。
なお、本来800万円の部分は加害者に請求すべきものですから、200万円部分については、人身傷害保険が肩代わりしていることになります。従って、この部分については、こちらの任意保険会社が代位取得し、相手方保険会社に請求していくことができる、ということになります。
 
以下、参考判例を挙げておきます。
 
★最高裁平成24年2月20日判決(最高裁平成24年5月29日判決も同旨)
 被保険者である被害者に過失がある場合、保険金を支払った訴外保険会社は、保険金請求権者に裁判基準損害額に相当する額が確保されるように、上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る場合に限り、その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得するとした事例(宮川補足意見あり)。
 
 
★東京高裁平成20年3月13日判決 
 被保険者が本件人身傷害補償保険の保険金の支払いを受けた後に加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起した場合において、被保険者にも過失があるとされたときは、同訴訟において認容された加害者に対する損害賠償請求権の額と支払いを受けた保険金の額との合計額が同訴訟において認定された被保険者の損害額を上回る場合に限り、その上回る限度において、保険会社は被保険者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得し、被保険者はその限度で加害者に対する損害賠償請求権を喪失すると示した事例