2014.12.15 月曜日

豊橋発:システムコンサルティング契約の法律問題

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 IT関係でシステム開発の契約はどのようになっているだろうか。
 システム開発では最初から「物」がある訳ではない。顧客と協議して徐々に組み立てていって、完成に至る。納入後も顧客の要求にあわせて徐々に改善していく。
 
 このようにシステム開発ではあいまいなところが多く、法律関係を明確にするのも一苦労だ。注文したが、期待通りのシステムになっていないという時、法律はどのように答えるのだろうか。
 
 システム開発では一般的には次の段階に分かれる。
 ① 業務分析フェーズ
   クライアントの業務を分析して業務分析報告書を提出した上で基本となるソフトウェア、基本的なシステムを提案する。
 ② 要求定義フェーズ
   基本ソフトウェア、システムを選定とすると共に、搭載するべき機能の一覧、工数の見積もりなどを行う。
 ③ 開発管理フェーズ
   システムの仕様確定作業を行い、システムの発注を受け、開発を行う。完成後は開発報告書などをクライアントに提出することになる。
 
  これらの一連の流れの中で、包括的な契約を締結する場合もあるし、段階毎に受注、発注することもある。業務分析フェーズはコンサルタント契約であるため、準委任契約という性質が強い。開発フェーズになると請負契約の性質が強い。
 
 この違いはどこにあるかというと、委任契約となると誠実に事務をこなしたかどうかが重要で必ずしも成果物を提供する必要は無い。請負契約については結果について責任を持ち、成果物の完成、引き渡しが重要な義務となる。
 
   一応、開発も終わったが、基本的な設計に希望にそぐわない場合があった場合はどのようになるだろうか。クライアントとしては債務不履行を理由に契約を解除することになる(民法543条)。
 
 ① この場合、未払代金があればその支払いは免れる。
 ② 解除されると原状回復義務があるため、開発業者は請負代金を返還する義務がある。
 
  しかし、開発したシステムが全く無駄かというとそうでもない。この残った部分については本来から言えば、開発業者に返さなければならないが、システム自体は無形な部分もあるので返還は難しいことになってしまうだろう。その場合、部分的でも解除は制限されるかも知れない。
 
  これに関連した判例として、ある全国展開している塾がNECを相手に訴えた事例がある。判例は従前の基本システムを踏襲するシステムができていないとして解除を認め、請負代金全額の返還を認めた(東京地裁H22.9.21判タ1349号136頁)。