2013.03.11 月曜日

豊橋発:管轄について

豊橋法律事務所ブログ 管轄について

 
今回は,交通事故で裁判や調停を申し立てる場合に申立先の裁判所がどこになるか,つまり裁判所の管轄の問題についてお話します。
 
①まず㋐裁判の場合,基本的には3つの場所に管轄があります。
 
1つ目は,相手方(被告)の住所地あるいは居住地の裁判所です(民事訴訟法4条2項)。
なお,加害者の雇い主である会社等の法人も相手方にする場合は,法人の主たる事務所又は営業所の住所の裁判所にも管轄があります(民事訴訟法4条4項,なお,事務所や営業所がない場合は,法人の代表者等の住所が管轄になります。)。
 
2つ目は,交通事故が起こった場所にある裁判所です(民事訴訟法5条9号)。
 
3つ目は,被害者の住所地の裁判所です(民事訴訟法5条1号,民法484条)。
このため,出張中に事故に遭ったような場合で,被害者の方の住所が交通事故の場所から遠くにあったとしても,被害者の方の住所地で裁判を申し立てられることになります。ただし,被害者の方の住所が加害者の住所や交通事故の場所から余りに遠くなる場合だと,申立て後に相手方から移送の申立て(17条)が出され,それが認められてしまい,加害者の住所地や交通事故の場所にある裁判所に裁判が移ることがあります。
 
以上のほか,当事者間で合意した場所の裁判所に申し立てることもできます(合意管轄,民事訴訟法11条)。
これは,例えば被害者,加害者の住所,交通事故の場所がともに岐阜県だった場合,通常は上記の3つの管轄からすると岐阜にしか裁判所の管轄がないことになりますが,被害者,加害者の代理人がともに名古屋の弁護士の場合で,訴訟進行の円滑化のために代理人間で名古屋地裁を管轄とすることに合意した場合などに,可能になる場合があります。
 
 
次に,㋑調停の場合,管轄は,まず相手方の住居か,営業所や事務所のある場所(民事調停法3条)にあります。
 
また,人身事故の賠償については,被害者の住居のある場所にも管轄があります(民事調停法33条の2)。逆にいえば,物損だけを請求する場合は,調停では被害者の住居の場所には管轄がありません。
 
さらに,交通事故の発生場所は,調停では人身事故でも管轄にならないので注意が必要です。
 
なお,合意管轄は,調停の場合も可能です(民事調停法3条)。
 
 
②それから,地方裁判所と簡易裁判所のいずれに申し立てをするかについては,㋐裁判では,請求額が140万以上の場合は地方裁判所に,140万円未満の場合は簡易裁判所に申し立てることになります(裁判所法33条1項1号)。
これに対し,㋑調停では,請求額に関わらず簡易裁判所に申し立てることになります(民事調停法3条,33条の2。ただし,合意管轄の場合は地方裁判所でも可能です)。
 
 
以上に見てきましたように,裁判と調停では,申立てができる裁判所にずれが生じる場合がありますので,注意する必要があります。