2015.04.01 水曜日

豊橋発:営業秘密の範囲

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【こんな場合どうする。】
 ある企業に勤務する従業員が、当該企業が秘密として管理する図面データ等を貸与パソコンに大量にダウンロードし、無断で繰り返し自宅に持ち帰っていた。これを知った同社が同従業員に事情聴取を行ったところ、持ち出されたデータはどこにも残っておらず、さらに貸与パソコンに記録媒体を装着した痕跡があり、貸与パソコンから不正にコピーがなされたと見られる私用パソコンは破壊されており、データの使用や外部への送信について確認することはできなかった。
 
【解説】
 これは経済産業省が営業秘密侵害罪についての限界事例として提起した問題だ。記録の不正コピーの証拠や外部漏出の証拠がない点で直ちに処罰できるかが問題なっていた。そこで、不正競争防止法一部が改正され、複製を禁じるなど秘密として管理されている場合に、不正な目的でコピーを作ること自体も処罰の対象となっている。
 
 企業としては、社内の営業秘密は常に営業秘密として管理しておかなければ保護されない。逆に秘密としてきちんと管理しておけば刑事、民事の保護がはかられるようになっている。最近では秘密の漏洩に関する裁判例も徐々に出始めている。
 
 不正競争防止法2条1項7号は企業秘密を保護している。企業秘密を不正にコピーしたり、持ち出したりすれば罰則の対象となる。
 
 大切なことは秘密として管理されているということになるが、一般的には
 ① 外部からのアクセスが限定されていること。
 ② アクセスが限定されていることが、見た目にもわかるようにされていること
 とされている。
 
 たとえば、こんな事情が重視される。
 入退室に制限が設けられている。ロッカーに鍵がかけてある。パスワードがないと入れない。複写は原則として許可が必要となり、不要となったら廃棄するよう管理されている。従業員に秘密保持義務が課せられている。日頃から教育されている。情報そのものに「部外秘」が明示してある。
 
 なお、よく請負契約などでは機密保持条項があるが「業務上知り得た機密を第三者に漏らしてはならない」程度の契約では秘密保持条項としては不完全であると言われている。どんな秘密か、たとえば入札に関する情報とか、あるいは「部外秘」と烙印されている情報とか、具体的に示しておく必要がある。