2015.04.03 金曜日

豊橋発:契約途中で裏切られた

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 建築関係の世界では契約途中で裏切られることがまれにある。建物の設計、その後の経営などいろいろ相談に乗ってきてラフとはいえスケッチを用意し、時には設計の概略を示して、いよいよ契約締結という段になって顧客が裏切ることがある。多くはこれも営業リスクと割り切って、あきらめていることだろう。
 
 しかし、中にはそうはいかないこともある。営業リスクと割り切るには損害が大きかったり、契約してやるとさんざん期待を持たせておいて裏切る場合で心情的に許せないような場合だ。
 
 今回紹介事例はリゾートホテル開発事例だ。
 ある設計事務所は宮古島リゾート開発を投資家に呼びかけて、これに乗ってきたために投資家のために設計図書を準備したほか、地元対策も行ってきた。投資家は宮古島の土地を40億円で購入し、設計事務所に対して仲介手数料として1億2600円を支払った。しかし、投資家はリゾート施設の設計監理業務、完成後のリゾート施設の運営を委託することはなかった。
 
 原告の主張によると設計監理によって11億1278万円、施設の管理費用として毎年3000万円を得ることができたという。裁判所は設計監理委託契約、施設管理委託契約は否定した。しかし、原告がこのリゾート計画そのものに参画してきたこと、設計管理、施設管理契約を期待して行動してきたこと、被告もそのことを理解していたこと、被告は原告にそうした契約を委託しない可能性があることを明示していないことなど認定して、この裏切りは信義則(民法1条)に違反するとした。
 
 裏切り行為が、法的には違法であると判断したのである。問題は、こうした場合にどんな損害が発生するかという点である。通常は、こうした契約成立を期待したことを前提に動いた費用を賠償する責任があるとされる。つまり、相手の言動を信頼して活動した範囲の費用は賠償させるという考え方だ。法律上はこれを「信頼利益」と表現する。
 
 本件では設計のための費用、宮古島までの交通費など細かく請求していたが、いずれも信頼利益に該当しないとし、信義に反するとしたが賠償する損害が見あたらないとして請求を棄却した(東京地裁H22.10.6判タ1356号191頁)。
 
 本件での教訓は何か。
 設計会社などはコンサルティングまで含めて関わることがある。コンサルティングそのものも今日では独立した事業として営まれている。コンサルティングだけの業者も存在する。土地売買、設計監理、業務委託、コンサルティングとそれぞれ分類できる。こうした分類をあいまいにしないで、それぞれごとにきちっと契約を締結しておくことが必要だ。仕事がほしいばかりに、あれこれ曖昧にしながら業務を進めると問題も生じる。