2015.04.20 月曜日

豊橋発:欠陥ビルと業者、設計事務所の責任

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 マンションなど購入したビルに欠陥が判明した場合、請負業者、設計士に修理のための責任を追及できるとした最高裁判決が最近出された。
 
 事例は9階建てマンションを購入した買主が、マンションに欠陥があった結果、建物のひび割れ、鉄筋腐食による耐久性の低下といった瑕疵があるとして、瑕疵部分の修補費用相当額の賠償を求めた事例だ。
 
 ビル買主は請負業者、設計事務所とは契約関係にない。しかし、民法には不法行為責任というのがあって契約関係にない場合でも責任追求が可能だ。不法行為によって他人に損害を与えた場合には不法行為者は被害者に損害を賠償しなければならない。
 
 工事ミス、監理ミスは不法行為となり、第三者である買主に対しても賠償責任を負担する場合がある。
 
 最高裁は契約関係にない居住者に対しても、工事管理者や工事請負人の責任は「瑕疵の内容・程度が重大で、建物の存在自体が社会的に危険な状態であるなど違法性が強度な場合に限って、これが認められる」とした(最判H19.7.6、判タ1252号120頁)。つまり、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に限って賠償責任を認めたのである。
 
 この判決だけ読むと危険な状態がある程度現実化しない事例でないと責任が認められないかのように見える。たとえば、建物を崩れて人が死ぬとか、けがをするとかしないとダメだということになるのだろうか。
 
 そのためか、上記判決の差し戻し控訴審では、ビルに欠陥があったとしてもオーナーが現時点でも居住していることから、いまだ欠陥は現実化していないとして請負業者、設計事務所の責任を否定した。
 
 しかし、現に欠陥があって、それを放置したら鉄筋が腐食して危険な建物になることが明らかであれば、買主としては補修せざる得ない。誰かが被害を受けるまで放置せよと言うことにはならない。建物が崩れるまで責任追及できないとした差戻し控訴審は不合理だ。
 
 そこで、この差戻し控訴審に対してはさらに最高裁が判決し、現実化する必要はないとしたのである(最判H23.7.21、判タ1357号81頁)。
 
 最高裁は次のように判示した。
 「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物しての基本的な安全を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。」