2015.05.18 月曜日

豊橋発:社内のけんかと会社の責任

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 どんなによい会社でも社内のいざこざが起こることがある。まして、正社員、契約社員、パート、派遣社員と複雑に入り組んでいる会社では人間関係を完全にすることは難しい。社内で殴る蹴るなどのいざこざがあった場合、会社は責任を負うだろうか。
 
 今回紹介の事例は、派遣社員の従業員が派遣先で正社員に殴られるなどの暴行を受けた事例だ。派遣社員はこの正社員とともに、派遣先会社の使用者責任を理由に4500万円の支払いを求めて訴えを提起した。
 
 判決は正社員の責任を認め12万円の支払いを命じた。会社については職務外の行為として認めなかった(大阪地裁H23.9.5、判時2132号56頁)。
 
 会社は職場の人間関係について無責任ではない。安全配慮義務の一つとして、職場の人間関係に配慮する義務がある。例えば、派遣労働者が職場の人間関係からうつ病となり自殺に追い込まれた場合に、安全配慮義務違反として賠償責任の対象となりうる(東京地裁H17.3.31判時1912号40頁)。
 
 本件でも職場の人間関係が悪化し、暴力沙汰が発生しかねない状況を放置していれば賠償責任を認める余地があったかもしれない。いわゆるいじめなどがあって、何も手を打たなければ責任が認められる余地がある。
 
 本件で責任が否定されたのは次の理由からである。
① 本件暴行は社員間の貸し借りに伴うもので必ずしも会社の業務に関係するものではなかったこと。
② 暴力沙汰が突発的なもので、それ以前になにか特別な問題があったという訳ではなかったこと。
③ 暴力がふるわれた時間、場所が終業後、タイムカードを打つ際のものであったこと。
④ 会社が日常的に社員からの苦情、相談などを聴取し、対応する体制があったこと