2015.05.27 水曜日

豊橋発:中小企業問題の視点

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 三井逸友の中小企業政策と「中小企業政策憲章」を読み続けている。まだ、5分の1ぐらいというところか。
 
 この本の特徴は中小企業問題の独自な領域を追求している点にある。著者は国内、欧米の豊富な文献を検討した上で中小企業問題という独自の領域にはいかなる視点があるか提示しようとしている。ちょうど、富士山が見る位置によって美しさが異なるように、中小企業問題という高見を様々角度からとらえようとしているように見える。
 
 著作は歴史的な視点に立って、過去から現在に至るまで中小企業問題がどのように論じられたかを整理している。著作の後半にはEUの中小企業政策に踏み込んでいるので、中小企業政策を論じる著作としてはかなり幅が広い。
 
 それだけにとりとめないと感じる部分もあるし、限られたボリュームの中に他説があまりにも多く紹介されているために、他説が単純化され過ぎているという感じもする。
 
  いくつか気になった視点を紹介したい。
  第2章は「中小企業研究の展開と国際的位相」だ。この題をみただけで哲学的な傾向を感じさせ、難解なんだろうなと思わせる。
 
 日本の中小企業政策は経済の二重構造との視点のもと、中小企業を大企業の系列下に置いて中小企業の近代化を図るという政策が進められてきた。この二重構造については中小企業は経済変動の調整役としての中小企業、中小企業の前近代的な労使関係を利用する大企業と言った問題がかねてより提起されてきた。
 
 しかし、実際にはそのような単純なものではない。確かに中小企業は大企業の系列に置かれることによって、中小企業は過酷なノルマと低コストの圧力にさらされてきた。ジャストインタイムの圧力はなみなみならないものがある。しかし、一方でこような過酷な環境下で生き残ってきた中小企業も存在するが、いずれも高い適応能力を持って今日存在している企業も少なくない。
 
 私は戦後積み重ねられてきた中小企業のプラスの側面、グローバリゼーションが進んでいる中、国際競争力の原動力となった「日本品質」の正体に関心がある。この著作第2章では、この積極的側面、中小企業の再評価にかかわる議論が紹介されている。
 
 1980年代から日本経済の強みとして中小企業のあり方が欧米で議論された。それを気に日本においても中業企業の積極的側面が議論されるようになったようだ。ジャスインタイムにみられるように日本の中小企業の高い適応能力が日本経済を支えているという評価が出てきたようだ。中小企業は創造性があって技術革新の担い手というように評価されているようだ。
 
 この中小企業の適応能力、フレキシブルな点は筆者も評価しているように思う。そして、さらに2つの点を指摘しているように思う。それは、個々の企業の適応能力を探求するだけでなく、中小企業が地域を形成し、地域の雇用、教育、技能蓄積、政治過程への参加と言ったさまざまな役割を果たしている点に注目する。
 
 もう一つは、中小企業が本来抱えている規模故の弱さの問題に注目している。