2015.06.19 金曜日

豊橋発:EU中小企業政策の展開

法律相談はE&J豊橋法律事務所の弁護士が対応いたします。
 
 
 
 三井逸友さんの「中小企業政策と『中小企業憲章』」がようやく半分ぐらいのところまできた。現在は「EUの中小企業政策の歴史的な経過と今日の課題」のところまでやってきた。
 あいかわらず難解な部分があって読むのに苦労する。最近は難解であるのはなぜだろうなどと表現自体の分析をし始めている。専門家向けの本だな。
 
 著者の基本的考えは次の文章に表れていると思う。
「EUの中小企業政策の歴史は、大企業中心の経済、国家管理重視の政策運営の見直し、雇用機会拡大をはじめとする中小企業を軸とした社会経済体制と産業システムの再構築を追求してきたものである。」
 
 また、次のようにも言う。
「それは当然競争的な市場経済の復権ではあるが、決して市場任せの新自由主義では実現されない」
 
 たぶん、市場経済を前提として、そこに社会主義的な政策を導入しようという考えなのだろう。
 例えば、著者はEUに流れるいくつかの理念も引用する。
「伝統のドイツ流『社会的市場経済』理念やフランス・イタリア等の協同主義・コミュニティと連帯組織思想、北欧的福祉国家理念があり、さらには英国でのブレア主義・『第三の道』論の興隆も見なくてはならない。」
 
 中小企業は市場経済のプレーヤーであることは間違いないが、一方で国民の福祉を担う存在でもあるというところに筆者の考えの特性があると思われる。
 EUの政策展開についていくつか要点をかかげるが、EUの次の点を紹介している。
 
「中小企業は社会性視点の重視が求められる。EUの統合には経済的効率性だけではなく『社会的側面』が色濃く反映している。社会的公正の実現、基本的人権と平等な権利の保障、労働条件と社会保障の向上といった側面が明確であり、『社会的市場経済』の理念が共通の理解となっていればこそ、地域間不均衡の是正を含め、統合欧州の将来に大きな期待が寄せられ、強い求心力として作用してきた。」
 
 中小企業の公共性という議論は興味深い点がある。それが社会的市場経済という考えから来ているというのは興味深い。