2015.06.26 金曜日

豊橋発:不採算部門の取扱い

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 中小企業の場合、不採算部門を長く放置することはできない。
 不採算であることの根本的原因をつきとめて、前進するか撤退するかを決めなければならない。
 
 私が現在担当している案件ではそう簡単に撤退できない事情がある。それは、この部門に経営者の夢がかかっているからだ。自分がどのような事業で生きていきたいかをよくよく検討し、決断し、多くの資金と労力を投入してきた事情があるからだ。
 
 こうした、事情をかかえた場合、「企業家である限りは見込みがなければ撤退を決断するべきだ。」、「赤字で操業を続けることなんて馬鹿だ。」という言葉はあまりにも単純で、本人には説得力を持たない。もちろん、企業精神の核心にかかわる事業に、こだわりすぎ、しがみついて会社をつぶしてしまうことは普通に存在する。フィルムにこだわり、デジタルについていけなかったコダックの例は特別ではない。
 
 不採算部門の取扱についてはいくつか検討要素がある。
 ① 部門会計の確立
  まず、部門会計を確立することだ。中小企業の場合、人が入り組んだり施設、設備が部門をまたがっているのでけっこう難しい。優秀な会計士に頼んでこの部門会計の確立を図り、自分の状況を正確に理解することがまず第一だ。
 
 ② 「出」の削減
  部門の赤字原因の追及をすることになる。企業会計の大原則は「入」と「出」だ。一般管理費などの費用を削減することは当然している。人員を整理して赤字を削減する努力も必要だろう。
 
 ③ 銀行対応
  銀行対応も必要不可欠だ。銀行対応の基本は3つ。不動産、生命保険など遊んでい資産を処分して返済に当てる。期限の長期化はかる。低金利商品を選択して1回の支払いを小さくする。最悪はリスケがある。その際に、複数の銀行とつきあい、少しでも有利な融資を選択する。
 
 ④ 経営効率の検討
  いくら売れても在庫回転が悪ければ赤字を増やすだけだ。商流に不経済があれば、売却の意味が分からなくなる。商流に投下されている自社資源が小さすぎるかもしれない。積極的に外部商流との連携をはかる必要があるかもしれない。一般消費者とつながる広告宣伝の位置付けに誤りがあるかもしれない。
 
 ⑤ 「入」
  もっとも根本的な問題で、この部門の商品にどれだけの生命力があるかを測る必要がある。これは高度な経営判断だが、客観的データなくして判断するべきものでもない。それまでの商品の売れ方、商品を支持する顧客層の動向、社会全体の流れ、競合他社の存在、価格設定の妥当性など諸要素はある。さらに、商品開発、事業開拓などイノベーションにかかわる問題もある。
 
 こうした論点は弁護士のシロウト的な思いつきでしかない。経営分析をきちんと勉強した税理士、会計士の専門的なメスが入る必要がある。
 
 一方で弁護士の役割は最悪の事態を回避するための措置を検討することになる。資金ショートを回避するための措置や万一資金ショートしたとしても会社が生き残るだけの措置が必要だということになる。これはそんなに手段があるわけではない。むしろ、赤字のコントロールが成功しつつあるのか、危ないのか日常的な「経過観察」とエマージェンシーに対する対応が弁護士の役割ということになる。