2015.06.29 月曜日

豊橋発:中小企業は国家の財産(中小企業憲章より)

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 中小企業家同友会では中小企業憲章運動を提唱している。同友会では2009年には中小企業政策憲章草案を採択している。この運動が実って2010年6月18日には政府も中小企業憲章を閣議決定している。同友会の草案と閣議憲章とは若干異なるがその基本的考えは同じであるといってよい。
 
 この中小企業憲章にはどのような意味があるだろうか。
 
 中小企業憲章の最大の特徴は中小企業を社会・経済上の「主役」中核的な存在として位置付けている点にある。
 閣議憲章では「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。常に時代の先駆けとして積極果敢に挑戦を続け、多くの難局に遭っても、これを乗り越えてきた。」と始めている。そして、中小企業の役割を述べた後に「中小企業は、国家の財産ともいうべき存在である。」と結論づけている。
 
 中小企業が経済上重要な役割を果たすことは誰も争わない。戦後、中小企業庁が設けられたのも、中小企業基本法があるのも中小企業の果たす役割が重視されているからである。しかし、産業全体の構造から言って中小企業の位置づけをどうするのか、社会の中で中小企業の果たしている役割は何なのか、さらには日本の風土、文化の中で中小企業はどのように位置付けられるのか、といった根本問題については十分答えていなかった。
 
 例えば、昭和30年代から「経済の二重構造」というようなことが言われていた。中小企業全体として生産技術、生産能力とった産業的活動能力に遅れており、労働条件も悪かった。中小企業は是正されるべき存在とされたし、製造業の分野では大企業に系列化されることによって中小企業の生産性を質、量とも高める政策が行われてきた。
 
 ちょっと、言い過ぎかもしれないが、私なりの理解を単純化すれば、中小企業は大企業に従属するものとして位置付けられて保護育成が図られてきた。経済、産業、社会の組み立ては重化学工業を中心に組み立てられ、中小企業政策はそれに従属ものとして位置付けられてきた。
 
 しかし、中小企業憲章の世界では逆で、中小企業がまず存在して、それに必要なものとして社会経済のしくみをつくりあげようと考えるのである。これはある意味、視座の大きな転換となる。
 
 中小企業憲章の考え方は中小企業は社会の中で役割を担っていると考えている。雇用を生み出し、産業を生み出し、地域の文化をつくっていくという役割があると考えている。つまり、中小企業が多様に自由に展開できる社会が望ましいとして社会、経済、文化を多様に展開する中小企業の立場から組み立てていこうという点で根本的に異なる。
 
 閣議憲章が「経済の主役」、「中小企業は、国家の財産ともいうべき存在である。」と述べたのも、中小企業の公共的役割を明示し、中小企業の視点から社会、経済、文化を創り上げていこうとしている姿勢を示している。