2015.06.30 火曜日

豊橋発 政府行動指針(中小企業憲章)

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中小企業家同友会では中小企業憲章運動というのを展開している。日本政府も2010年中小企業憲章を閣議決定した。

 
 政府の中小企業憲章では、政府の「行動指針」を定めている。
① 中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する。
② 人材の育成・確保を支援する。
③ 起業・新事業展開のしやすい環境を整える。
④ 海外展開を支援する。
⑤ 公正な市場環境を整える。
⑥ 中小企業向けの金融を円滑化する。
⑦ 地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する。
⑧ 中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす。
 
 この行動指針はきわめて重要だ。
 
 1980年代、日本経済の強さに日本の中小企業があるという考えが欧米で注目された。 大企業からの高技術の要請や、ジャストインタイムといった過酷な要請に対しても日本の中小企業は応えてきた。さらに、グローバリゼーションが進展する中で大企業は従来の系列企業からの部品調達から、世界市場からの調達、系列以外からの調達を進めていった。これは逆に言えば、中小企業が国際社会での自由な競争にさらされ、生き残ってきたことを意味する。
 こうしたたくましさが、日本経済を支えているのだという考えが欧米で注目され、さらに、欧米での議論が日本にも影響してきた。
 
 聞くところによると欧米の中小企業政策は日本の中小企業政策に刺激されてさらに整備されていった言うことだ。1980年代以降、欧米では中小企業政策が進展した。日本でも同様に新展開がはかられた。1999年に中小企業基本法が大改正され、中小企業の自律性などが強調されるようになっている。しかし、日本の中小企業政策は停滞することになる。それは、中小企業の価値を重視して、日本の産業構造、ひいては文化まで変えようという姿勢に欠けたためとも言われている。
 
 EUでは2000年に「欧州小企業憲章(European Charter for Small Enterprises)」を定めた。「小企業は欧州経済のバックボーンである。」「ニューエコノミーの到来を告げる欧州の努力は、小企業が政策課題のトップにあげられてこそ、成功を収めるものである。」と宣言した。
 さらに、重要なのは欧州小企業憲章は10点にわたるアクションプランを示して、EU各国が実現するべき政策課題、政策進展の検証基準をつくりあげている点である。EUでは2002年ころから「Think small first」という政策スローガンのもとに中小企業政策について広範な項目を作り上げて繰り返しEU各国の政策進展をチェックしている。
 米国でも同様なきめこまかなチェックは行われたようである。
 
 さて、行動指針の話になるが、日米欧の3国でも中小企業は等しく重視される傾向にあり、1990年代から2000年にかけて政策が整備されていった。2000年以降、欧米は行動指針を設け、中小企業政策の総合的な推進を図ってきた。しかし、日本は「Think small first」という視点が貫かれたわけではない。むしろ、自由競争が過度に強調されて、政策的な介入が避けられてきたきらいがある。
 
 中小企業研究者によると、この差、つまり、中小企業政策を社会経済政策の根幹に据えるだけでなく、「Think small first」という検証基準をもって実践的に推進してこなかったという差が現れているいう。日本の中小企業政策は欧米に比較して10年遅れてしまったという。
 
 中小企業憲章に行動指針が設けられた点は、遅ればせながら日本もこうした政策のPDCAサイクルが始まったことを意味する。