2015.07.08 水曜日

豊橋発:「在庫」ってなんだろう。

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 ある企業について、年来の懸案であった部門会計が確立した。この会社は小ロットだが高付加価値である商品を販売して利益をあげる事業戦略だった。部門会計をみて、予想以上に利益が出ていないことが判明した。
 
 商品はうつろいやすい。消費者の多様な要求に応えるために、品揃えを進めるのだが、在庫が膨らんでしまった。どこに保管しているのかと尋ねたら、中国に置きっぱなしになっているという。在庫回転率が悪く、売上げのみが伸びているという悪いパターンに陥っている。
 
 そこで、仕入、生産から販売にいたるまでのサプライチェーンの見直しが不可欠となった。どんな事業でも利益を上げなければ破綻する。また、仕入れて、売れて、在庫がないという状態であれば利益は必ず出る。
 
 そこで、改めて在庫の意味を検討することにした。
 在庫をどのようにとらえるかについてはマネジメントを考える上で最も重要な課題の一つだ。
 
 在庫が多ければコストがかかる。在庫が時間とともに陳腐化すれば不良資産となって会社を圧迫する。
 しかし、在庫が少なければ売れる機会をみすみす逃すだろう。仕掛かりの在庫も考えれば、在庫の不足は生産量全体の低下を招くことになって会社の経営を圧迫する。
 
 ジャストインタイムの生産方式では在庫を時間、サプライチェーンを通過する時間とらえる考え方をとるようだ。確かに仕入、生産、販売までの間に何らかの滞りがあれば、在庫となって膨らんでいく。この「滞り」は確かに時間だ。
 
 トヨタのジャスインタイム方式は仕入から販売までのリードタイムを少しでも小さくすることが重要な目的となっているのだが、そこには理由がある。
 
 もちろん、リードタイムが短いことで滞留する際に生じるコストを省くという目的もあるだろう。しかし、もっと重要なのは、リードタイムが短いことにより激減する市場の動きに対して素早く反応できるというメリットがあるという。
 
 一方で、在庫がなければ突発的な事情に対応できずかえって全体の利益を害することもある。在庫があること機会損失を防ぐことができる。この場合は在庫は「余裕」となって意味ある時間を蓄積することになる。
 
 重要なのは全体として調和し、サプライチェーンにという時間的余裕をもって生産することが結局最適な経営ということにある。このあたりは例えば工場長の職人芸のようなところがあるかもしれない。また、会社全体の調和を図る社長の手腕かもしれない。
 
 初歩的な議論かもしれないが、とりあえず教科書的に考えて応用することも大切なことではないだろうか。