2015.07.14 火曜日

豊橋発 共同的事業者の第2納税義務

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法律の世界では一般に個人と法人とは峻別される。会社の責任を個人が負うということはないというのが原則だ。だから、銀行は借金に社長の連帯保証をつける。いざとなったら個人責任を追及できるようにしておくためだ。

 
 ところが、税務の世界では時々違ったことが行われる。税務の世界では実態に基づいて処理されることがよくある。課税逃れの法形式を許さないという考え方がけっこう出てくる。
 
 最近、税理士さんとの勉強会で「第二納税義務」があるというのを知った。滞納国税については、同族会社の場合、一定の要件のもと、株主個人の財産に対しても差し押さえなどの処分ができるというものだ。
 
 国税徴収法37七条1項は、「共同的事業者の第二納税義務」と表題して、次のようになっている。
  「①納税者の欠くことができない重要な財産を有し、かつ、②当該財産に関して生ずる納税者の所得となっている場合において・・・・滞納に係る国税の第二納税義務を負う」
 
 シロウトには分からない条文だ。
 
 勉強会で問題になった事例は、養鶏場の事例だ(H21.11.13採決事例集№78、509頁)。社長が養鶏場を経営する株式会社に無償で土地を提供していた。これは、納税者である会社の経営上「欠くことができない重要な財産」だ。
 
 土地は無償提供であるため、会社は「無償」という限りで賃料相当額の利益を得ている。これが「当該財産に関して生ずる納税者の所得となっている」というのだ。弁護士の目から見ると違和感がある。
 
 課税庁の考え方は土地は必ず負担を伴うという考え方だ。逆に土地は必ず地代相当額の利益を生むという考え方でなければならない。無償だということで所得を得ていると言っていいのだろうか。有償と言っても実社会では幅があり無償に近いものもある。
 
 ともかく、第二納税義務は同族会社の株主に限って課税されるもので一種の法人格の否認だ。課税には実質所得者の原則(所得税法12条、法人税法11条)といのがあって、利益を受けた者が税金も払うという比較的わかりやすい原則がある。しかし、この共同事業者の第二納税義務はそのような関係にない。かなり不合理ではないだろうか。このような条文には憲法上の問題はないだろうか。
 
 ① 同族かそうでないかによって第二納税義務の有無が異なるのは平等原則(憲法14条)に違反するものではないか。
 ② 別人格の者の財産について合理的理由無く課税されるもので財産権(憲法27条)侵害ではないか。判例上法人格が否認されるのは実態として一体であり、財産逃れなどの詐害意図が必要だ。
 ③ この場合、第二納税義務者は利益を得ているわけではない。実質的に利益を受けていないにもかかわらず税金を負担させられるのは担税力の無いものから徴収するもので合理性を欠くのではないか。
 
 少なくとも、法律が会社という存在を認めて、有限責任であるとしているのにもかかわらずこのような条文を設けることは許されないと思う。