2015.07.17 金曜日

豊橋発:労働審判制度

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 社員との労使紛争解決手続きとして労働審判制度がある。裁判と同じような制度だがとても解決が早い。むやみに解雇すると蜂の一刺し、審判を申し立てられることがある。
 
 先日、顧問先が社員を解雇したという相談を受けた。この社員は上司不振に陥り、ことあるごとに上司に文句を言い始め、リーダーシップがないなどといじめに近い状態になったそうだ。おまけに仲間を集め始めた。上司は悩み始め、社内は非常にまずい状態になった。会社としてはこのままでは放置できないと判断して解雇に踏み切ったそうだ。
 
 解雇が経営者として妥当かどうかともかく、会社の対決姿勢に社員としても労働審判で対抗するという手段に出た。会社は呼び出しを受けてしまった。
 
 労働審判は労働契約に関して生じる紛争を専門的に解決する手続きである(労働審判法1条)。裁判所にあって、裁判官と労働審判員によって構成される.労働審判員は労使双方の立場を代弁する人たちだ。
 
 訴訟と違い、話し合いのような訴訟のような雰囲気で進められる。処理の迅速が求められ、3回以内の審理で終了することになっている。司法統計によるとだいたい70日ぐらいで終わっているようだ。
 
 審理と言っても話し合いのような部分があり、申立事件の大部分が和解で終わっている。そのうちの大部分が金銭解決で終了していると思われる。
 
 労使関係にあっては労働者が弱く、労働組合の発達も不十分な我が国では労働者は孤立しがちである。法律上正当な権利もなかなか認められない。こうした実情を踏まえて、簡易に解決できるよう労働審判制度が設けられた。
 
 労働者のための制度ではあるが、使用者にとっても役立つ制度になっているように思う。もし、正面から訴訟提起されると弁護士費用もばかにならない。そもそも顧問契約もない状態で労働事件を引き受けてくれるかどうかもわからない。そんな中、労働審判所が法律や判例に沿って解決してくれるのだから悪くない。
 
 上記の事例では労働契約法により解雇は正当理由が必要であるため、簡単にはできない。上記のような事例では解雇の正当性を認めるのは難しいだろう。このまま訴訟になれば弁護士費用の問題も出てくる。60万円とか90万円とかいった数字はすぐに支出する。本格裁判になって敗訴判決ともなれば、判決までの間の賃金を支払わなければならなくなる。
 
 和解もやむなしである。こういう場合、社員も本当は職場復帰を求めている訳でもないので金銭解決案を提示すれば乗ってくる。感覚的には60万円から90万円ぐらいの支出はやむえないように思う。
 
 実際にはこの事件では30万円ぐらいの支出で解決した。