2015.07.22 水曜日

豊橋発 サプライチェーン経営の広がり

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最近、私のいくつかの顧問先で「在庫」が問題となっているので、「在庫」の勉強事始めということで「トヨタ式経営18の法則」(日経ビジネス、今岡善治郎)という本を読み始めている。これはすぐれた本だ。

 
 仕入、製造、販売の流れをサプライチェーンと読んでいる。本書はサプライチェーンを「時間短縮」と「同期化」と2つの視点から捉える。在庫は時間であるととらえ、在庫の減少は時間の節約とらえる。在庫を減らすことで、無駄な生産を防ぐことができる。仕入、生産、販売のリードタイムが縮小され、顧客の要求に即座に対応して事業の発展につなげることもできる。
 
 「同期化」とは、サプライチェーンの最適化、つまり最も効率よい流れを作り上げる作業であるが、そればかりではない。事業のあり方、事業の領域そのものも変化させていく点で大きな広がりを見せている。サプライチェーンを磨き上げることでイノベーションを生んでいくと本書は紹介している。
 
 例えば、クロネコの宅急便だ。
 配送事故があった場合にいったん配送センターに戻し、センター長が処理していた。それを30万円まで末端のセールスドライバーに処理する権限を与えた。速い処理に客は喜び、センター長が出向いて処理するより費用も削減できる。もっとも合理的な処理を追及する過程でイノベーションは生まれる。
 
 例えば、世界最大の小売商ウォルマート。
 各店舗に仕入権限を与えることで、現場情報に応じた的確な仕入が可能となるとともに、仕入の効率も向上した。
 
 これらの例は末端に裁量を与えることにより、収集制御による混乱を防止して、サプライチェーン全体の効率化を図ろうという考えだ。
 
 もっとおもしろいのはセブンイレブンの例だ。
 工場は持たないがセブンイレブンでは商品の生産計画も立てる。物流はヤマト運輸、情報処理は野村総合研修所にアウトソーシングしている。企業の連携を図り、企業連携全体でサプライチェーンの合理化を進めている。急激に変化する社会に対して、能力ある企業と連携することで、新たな投資無くして即応することができる。変化すればまた別の組み合わせを考えれればよい。
 
 サプライチェーンの広がりは、商品の大きな循環の中で位置付けられている。昨今のグローバリゼーションの特徴は、実力ある海外企業との連携が深まっている点だ。大企業は大企業でパートナーを常に捜し求めているし、中小企業も同じだ。私の知っているアパレル会社は香港、中国の企業に生産を発注するようになり、ついに自社で商品を製造することを止めてしまった。製造業でありながらまるで商社のようになった。いくつかの中国企業を指導し、品質上げる。そして、売るのだ。
 
 本書は2000年に著されたものだが、最近の傾向を予見しているかのようだ。最近はオープンイノベーションという言葉が注目を浴び、世界各地でこの思想の応用が進められている。本書が示したサプライチェーンの広がりはこうした世界の傾向に相通じると思う。