2015.08.07 金曜日

豊橋発:取締役の退職慰労金

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 創業者が会社を大きくして勇退する場合に退職慰労金が支払われる。会社が順調であれば、退職慰労金はけっこう大きな金額になる。私の顧問先では社長が引退して1億4000万円の退職金を支払った。これぐらい大きな金額となると手続きも厳格に行われることになる。税務対策も必要となる。
 
 そうでなくても、会社の生え抜きを取締役にする場合に、退職慰労金の取扱は問題になることがある。例えば、内規で退職慰労金を支払うことになっている場合は取締役は退職金をきちんともらうことができるだろうか。会社の業績が悪いのに、会社を見捨てた取締役のために退職金を支払うのは社長としては割り切れないだろう。
 
 退職慰労金は在職中の職務に対する対価と認識されている(最判S39.12.11,判時401号61頁)。役員の報酬は株主総会の決議が必要となる(会社法361条1項)。これは、取締役会で決めれるとなると、自分で自分の報酬を決めることになってしまって具合が悪いと考えられているからだ。自分の利益のために法外な報酬を取り決めて、会社を犠牲にするかもしれない。
 
 株主総会の決議がない場合は役員報酬権は発生しない(H15.2.21金判1180号20頁.)。たとえ、慣行上支払われていたとしても株主総会の決議がなければ請求できない。もっとも、株主が創業者一人というような場合には実際にはいつでも決議が上げられるから問題はない。
 
 しかし、株主総会で退職金規程が承認され、取締役会が規則に従って支給することを決めることは許される。この規則は規則自体から確定的に金額を算出できるようにしておく必要がある。この場合、注意しなければならないのは規則が存在すると、役員には規則に従って報酬請求権が発生してしまう点だ。
 
 例えば、沈み係った会社を見捨てて辞めてしまう取締役であっても、規定通り退職金は支払われる。
 あるいは、創業者じいさんと息子が対立することも少なくない。いつのまにか法外な退職金規程が定められていることもある。止めたときに気づいたら、じいさんが高額な退職金を請求してきて困ったなんてことも普通にある。