2015.10.19 月曜日

豊橋発:インターネット発信情報の開示

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 iモードに名誉毀損記事(浮気、不倫しているなど)が掲載されため、発信者の情報提供をNTTドコモに求めた事例がある。
 
 「特定電気通信役務提供者の損売賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という長い名前の法律があって、発信者情報開示請求権と呼ばれるNTTドコモなどのプロバイダーに対して、識別番号(ID)、契約者名、住所の開示を求めることができる(4条1項)。判決文はこの条文を根拠にID、契約者名、住所の開示をNTTドコモに命じた(判時2152号62頁)
 
 いくつか要件があるが本件は次の点が問題となった。
① 本件で求められている情報が発信者情報と言えるか。
② 被告(NTTドコモ)を保有しているか。
③ 情報開示は「権利侵害されたことが明らかなとき」に求められるが、明らかと言えるか。
④ NTTドコモは非開示としたことについて損害賠償請求を負うか。
 
 法律は「発信者の特定に資する情報」としておりID、契約者、住所については発信者の特定に必要な情報と言える為、発信者情報と言えることには問題がないように思う。また、名誉毀損は明らかだから権利侵害をされたとすることには問題は無いだろう。
 
 「保有」するというのは、プロバイダーが開示できる権限を有することに」加えて、「役務提供者において、その権限の行使が実行可能な程度にデータの存在を把握し、これを特定・抽出しうる場合をいう」とした。
 
 確かに、いくら情報があると言っても整理されていないものを整理せよというのは新たに大変な労力が必要とされる。そのため、整理されていない情報まで探して、整理して提供せよということは言えないだろう。
 
 法律には開示に応じないことによって生じた損害が生じた場合にはプロバイダーは賠償責任を負担することになっている(法4条4項)。この場合、開示に応じないことに過失があるかどうかが問題になった。このプロバイダーの賠償責任については、「故意又は重大な過失」がある場合に限定されている。つまり、ウェブ上、名誉毀損など誤った情報流通した場合にむやみにプロバイダーの責任を認めると、ウェブ上の情報流通が疎外され弊害も多い。そこで、普通よりもプロバイダーの責任のレベルを下げているのである。判決はこの趣旨を認めて損害賠償請求は否定している。