2015.11.13 金曜日

豊橋発:倒産になる前に

法律相談はE&J豊橋法律事務所の弁護士が対応いたします。

 

 

 私の周りでは最近倒産事件が増えている。リーマンショック以降、円高、東北大震災、原発事故、タイの洪水、日中関係の悪化と不安材料が続いている。こうした悪影響に耐えられずついに倒産に至るという感じだ。
 
 最近、ある企業の相談を受けた。
 年商は約4億5000円。利益は粗利で2割。債務は2億円。感覚的にはこの程度で倒産することはない。しかし、急激な震災による影響は1年経って出始め、急激に業績が悪化してきたというのだ。
 
 売上は一年で1億円落ちた。さすがに、1億円も落ちると、いくらよい企業でも打撃は大きい。当然、倒産の危機となる。この会社の社長はこの危機を一人で乗り切ろうとした。税理士は申告だけを引き受けるだけで相談にならない。
 
 まず、考えたのが銀行への毎月の支払いだ。社長は何が何でも支払いしなければならいと考えたのだ。通常ならばリスケで乗り切るのかもしれないが、この会社にはリスケを行えない事情があった。そこで、急激な業績の悪化に対して、追加融資で乗り切ることにした。
 
 しかし、業績の悪化がある種、構造的なものであって、急激な回復は見込めない。そのなかで追加融資で乗り切るのは、雪だるまのように融資額を増やすことにつながる。いくら銀行との関係が良好でも、次から次へと融資があるわけではない。融資枠はすぐに限界になり、ついに倒産の危機に直面したのだ。
 
 この会社の業績はけっして悪くない。毎月300万円以上銀行に返済が出来る会社なのだ。倒産の危機にあってもあらゆる手を尽くしても危機を乗り切るだけの価値がある会社だ。心を折ることなく、あらゆる手を尽くすべきだ。
 
 そうは言っても、利益を生み出す会社でありながらこのような事態になったのはいくつか問題もある。それは次の点に集約できる。
① 比較的利益がある時点で、債務を減少させる手立てを怠ってきた点だ。むしろ、短期融資が徐々に膨らみ、一定大きくなると長期債務に変更してきた。そして、長年にわたって債務が根雪のように貯まっていった。
② 確かに業績は急激に悪化していったが、業績の悪化の理由についての分析が不十分だった。一時的なもの、当面回復の見込めない構造的なものなのか。構造的なものならば、一気にダウンサイズに踏み切り、負債に対する対策もドラスチックな行動が求められる。無駄に返済することは許されない。
③ リスケのタイミング、倒産その後の事業再生についての最悪の状態にあって、生き残るプランを立てていなかった。
④ 一人で悩みすぎた。税理士との相談が一番良いのだが、税理士に経営に踏み込むだけの能力が無かった。弁護士も経営に踏み込めるだけの能力がある者は少ないが、しかし、こうした債務処理について見識ある者と協議が必要だったのではないかと思う。