2015.11.30 月曜日

豊橋発:追加工事と契約責任

法律相談はE&J豊橋法律事務所の弁護士が対応いたします。

 

 

 工事最中に施主との間で起こるトラブルの大半は追加工事や仕様の変更だ。こうしたトラブルは本当に弁護士泣かせで非常に困る。というのは、お互いあいまいなまま進めることが多い上、話がとても細かい。時に専門性も必要となる。
 
 建築関係の皆様には必ず施主から文書で同意書を作っておくことをお勧めする。設計変更や仕様変更の議事録のようなものを作っておいて、施主のサインを必ずもらっておくとよい。なんだったら、予めフォーマットを作っておくこともいいのではないだろうか。せめて、報告書をその都度出すぐらいのことは必要だろう。
 
 最近出された京都の事例もこうした事例の一つだ(京都地裁H24.2.14、判時2159号103頁)。
 隣り合った建物の増改築で、追加工事があったとか、外壁を壊すべきところを既存の外壁を利用して建物を造ったとかいったことが争点となった。
 
 確かに本件の設計図書によると外壁を壊すことを前提となっていたようである。しかし、裁判所は原告の主張を認めなかった。それは、見積書が外壁を残す内容となっていたこと、工事中、大工が外壁を壊すと隣とのトラブルになるなどと説明していることなどから外壁を残す合意があったというのである。
 
 施主と工事業者、設計監理者と間はかなりもめたらしく、監理者は途中で止めてしまった。当事者ではこんな会話があったという。
 「辞めてよいか。」
 「あなたが決めることです。」
 
 その後、監理者は辞任したのであるが、裁判所はこの程度の会話では合意解約はないとした。もっとも監理契約は委任契約ということで、できだかに応じて報酬が支払われる。本件では裁判所は一応3分の1は仕事したと認定した。別に根拠はないが「諸般の事情を考慮して」決められている。裁判所というのは意外とこういう直感で決めることが多い。
 
 なお、判例の注釈によると、設計・監理契約を委任契約とし、民法643条3項を適用して履行の割合に応じて報酬を決めた事例があると言うことだ(東京高裁S59.12.11.判時1140 、81頁)