2015.12.02 水曜日

豊橋発:人間の開発

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 №1118で「キャリアの形成」を書いた。もう少し、つけ加えたい。
 これから伸びていこうという企業に取って、すぐれた社員、優秀な幹部を養成したいと思うのは当然だろう。トップの役目は「時を告げるのではなく、時計をつくる」ことにある、という言葉よく出てくるが、「時を告げる者」を養成することが必要となる。
 
 この場合、企業自体が社員のキャリア・デザイン像を持つことも大切ではないだろうか。人は個性的だ。会社自体も時代と共に変化する。ある一時期もった社員のキャリア像、キャリアモデルもすぐにダメになるかもしれない。にもかかわらず、経営トップは常に社員の未来を見据えたキャリア像を持つ必要がある。これは企業の未来像を描くのと同じ作業となる。
 
 この点、シャインはキャリアコーンというのを提案している。中心軸に企業の確固たるアイデンティティがあって、社員がそのアイデンティティにどれほど近づけるかが重要だという考え方だ。近づけるというのは各自のポジションに応じて組織の一員として自覚し、組織全体の考えて自分の行動を決めるということを意味する。
 
 キャリアコーンは新入社員から幹部に至るまでの各キャリアのあり方を示している。
 一方で、もう少し違った視点もある。
 職業人としての人間像を描いていくことも必要なことなのではないだろうか。ある研究者(グルドナー)は「組織人モデル」と「仕事人モデル」とを対比させ、個人のキャリア開発のあり方を分析している。
 
 前者は組織の一員として活動し、組織から与えられる仕事が自分の仕事であると意識するタイプの職業人像だ。後者は本来の任務を社会への貢献と考えたり、組織を超えた高次な部分にとらえる傾向あるタイプだ。プロフェッショナルやスペシャリストのたぐいが壮だと言える。私は直接読んだことはないがグルドナーは大学教師を対象に研究したそうだ。
 
 こうした、職業人像のとらえ方によって、会社が個人に提供する環境も大きく異なることになる。「組織人モデル」では労働条件も重視されるし、組織の中でキャリアを形成することが大切になる。企業もそれに応じた処遇、部下の配置など職場環境を整えることになる。
 
 一方、「仕事人モデル」では、仕事に必要な設備、資金、情報など個人の特別な能力を伸ばしていく環境として適切かどうかが問われることになる。研究者に近かったり、ITのように高い創造性が発揮されなければならない職場であるとこうした、「研究環境」を提供することが人材を育成することになる。
 
 つまり、こうしたモデルを紹介することで言いたいのは。会社にとって望ましい人材を養成するということは、こうした人材を養成するに相応しい職場環境は何かという問いが常に行われるということだ。人材のあり方は企業によって千差万別だろう。しかし、モデルが示されることによって、我が社のプロセスを組み立てる参考になっていく。