2013.07.29 月曜日

豊橋発:仲裁契約

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 仲裁契約というのは一般の人はあまり聞いたことがないかもしれない。私たち弁護士もなかなかお目にかからない契約だ。

 
 仲裁契約といのは、信頼できる第三者に紛争解決の判断を委ねるという合意を言う。つまり、お互いが選んだ第三者によって決しようというのである。訴訟は時間も金もかかる。それよりも早期に解決できる方法として仲裁契約が考え出された。
 貿易関係など国際取引ではむしろ仲裁機関によって処理するのが通常だ。だが、国内ではめずらしい。
 
 事案は地盤改良事業の事例だ。ある建築会社は9階建てのマンションを建てるために、土木業者に891.98㎡の土地の地盤改良工事を依頼した。その後に6階まで建てたのだが、建築中に建物が傾いてきた。地盤改良工事の不備から不同沈下が起こったのだ。
 
 マンション業者としては、残りを建てるより一旦壊してやり直した方が得だということになり、新たに立て直した。おかげで、6億6482円の被害が生じたとして損害賠償請求の裁判を起こした。
 
 ところが、土木工事の請負契約には、記載がない部分については下請契約約款によると記載があった。その下請契約約款に仲裁契約に従うという約款があった。契約約款には「当事者間に紛争が生じたときには建築業法による建築工事紛争審査会の仲裁に付し、その仲裁判断に服する。」と記載されてあった。
 
 仲裁に従うということなので、裁判はできない。原告はせっかく裁判をしたのだけれど、約款上裁判できないことになっていたので、あえなく訴えは却下されてしまった(東京地裁H21.3.25判タ1309号220頁)。
 
 これは仲裁約款に気づかなかったマンション業者側弁護士のミスだ。でも、改めて建築紛争審査会に調停や仲裁の申立をすればよい。但し、時効の問題がある。
 
 尚、建築紛争審査会は建築士や弁護士などによって構成されている機関で、比較的お手軽に建築紛争というやっかいな事件を解決してくれる。